総量規制オーバーでも借りられる契約は条文で決まっている|施行規則の「除外」8つ・「例外」8つと10万円・3か月の特定緊急貸付(旧版の廃業業者を訂正)

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「年収の3分の1を超えているけれど、まだ借りられるところはないか」と探している人へ。年収の3分の1を超えても貸してよい契約は、貸金業法施行規則の第10条の21と第10条の23に、一つずつ条件つきで書かれています。条文を読むと、そのほとんどは「新しくお金を足す」ための契約ではなく、目的や書類が決まった契約です。

この記事の以前の版は、「おまとめローンに強い正規業者」として3つの名前を挙げ、そのうちの「中央リテール」を「多重債務の解決に特化」と紹介していました。2026年10月13日に確かめたところ、中央リテール株式会社(東京都知事(6)第31283号)は、日本貸金業協会が公表した廃業業者一覧(令和6年度第10回理事会・12月受付分)に「廃業」として載っていて、金融庁の登録の検索でも出てきませんでした。もう一つの「キャッシングスペース」についての「他社借入が5〜6件ある方でも」という説明も、公式サイトに当たる記載がありませんでした。そこで、e-Gov法令検索の条文と、登録・公式サイトで確かめられることだけで書き直しています。

「年収の3分の1」は、法律でどう決まっているか

年収の3分の1の線は、貸金業法第13条の2が決めています。条文は、個人に貸す契約のうち、その契約を結ぶとその人の借入れの合計(個人顧客合算額)が「基準額」を超えるものを「個人過剰貸付契約」と呼び、貸金業者はそれを結んではならない、としています。基準額は、条文の言葉で「その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額」です。

年収 基準額(年収×1/3) 他社に80万円ある時の残り
240万円 80万円 0円
300万円 100万円 20万円
450万円 150万円 70万円

同じ条文は、合計を数える時に「住宅資金貸付契約等」の残高を除き、さらに「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」も個人過剰貸付契約から外す、としています。前者を「除外」、後者を「例外」と呼ぶのが一般的です。どちらも中身は内閣府令、つまり貸金業法施行規則に任されています。

カードローンのように枠の中で繰り返し借りる契約(極度方式)については、第13条の3が、一定の期間ごとに信用情報で基準額を超えていないかを調べるよう業者に求めています。合計が100万円を超える人については、源泉徴収票などの収入の書類を出してもらわなければならない、とも書かれています。

「年収」に入るもの、入らないもの(施行規則第10条の22)

基準額のもとになる「年間の給与に類する定期的な収入」は、施行規則第10条の22が決めています。給与のほかに数えられるのは、年間の年金、年間の恩給、定期的に受け取る不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)、年間の事業所得(過去の状況から安定的と認められるものに限る)の4つです。

年収の出し方(第2項) 中身
書面から算出 源泉徴収票など、第10条の17に決められた書面を使う
直近2か月分の給与から算出 直近の2か月分以上の給与(賞与を除く)の1か月あたりの平均×12。過去1年以内の賞与が書面で確かめられれば加えてよい(第3項)
地方税額から算出 書面に書かれた地方税額をもとに合理的に算出する

多くの業者が「直近2か月分の給与明細」を求めるのは、この第2項第2号の出し方に合わせているからです。たとえば月の給与が手取りではなく額面で22万円、23万円の2か月なら、平均22.5万円×12で270万円、基準額は90万円になります(当サイトの計算)。残業の多い月の明細を出せば年収が高く出る一方、少ない月なら低く出ます。

「除外」:そもそも合計に入らない契約(施行規則第10条の21)

第10条の21第1項は、合計から外す契約を8つの号で並べています。そして第2項で、業者がその契約を結んだ時に保存しなければならない書類を決めています。

号 合計に入らない契約(条文の要旨) 業者が保存する書類(第2項)
1 不動産の建設・購入(借地権を含む)や改良に必要な資金の貸付け 売買契約書、建設工事の請負契約書など
2 1号の貸付けが行われるまでのつなぎの貸付け 同上
3 自動車の購入資金の貸付けで、その自動車の所有権を業者が取得するか、譲渡担保になっているもの 自動車の売買契約書と自動車検査証
4 本人か生計を一にする親族の高額療養費を払うための貸付け 医療機関からの療養費の請求書か見積書
5 決められた種類の有価証券を担保にし、時価の範囲内で貸す貸付け 有価証券の種類・銘柄・数・価額を書いた書面
6 不動産を担保にし、返済能力を超えず、価格の範囲内で貸す貸付け(本人の居宅や生活に欠かせないものは除く) 価格の算出根拠、登記事項証明書、売却される可能性への同意書
7 売る予定の不動産の売却代金で返す貸付け(売ると生活に支障が出る場合を除く) 価格の算出根拠、売買契約書か媒介契約書
8 第1条の2の3第2号から第5号に掲げる契約 ―

貸金業法施行規則 第10条の21(e-Gov法令検索、2026年8月31日施行の版を2026年10月13日に確認)。

並べてみると、除外される契約はどれも、住宅、車、医療費、有価証券、不動産と、お金の行き先か担保がはっきりしている契約です。しかも業者は、その目的を示す書類を最終の返済期日まで残しておかなければなりません。「自動車ローン」も、車の所有権を業者が持つか、担保になっている場合に限られています。生活費を手にしたい人が、この表から当てはまるものを見つけるのは難しい、というのが条文から読める実際です。

「例外」:3分の1を超えても結べる契約(施行規則第10条の23)

例外は、合計には入るけれど、超えていても結んでよい契約です。第10条の23第1項が、号ごとに条件を付けています。

号 契約 主な条件(条文の要旨)
1 今ある借金を返すための貸付け 1か月の負担が今の借金の1か月の負担を上回らない。将来払う合計(元本・利息以外の負担も含む)が今の借金の将来払う合計を上回らない。新しい担保や保証人を求めない、または今より不利にしない
1の2 貸金業者からの借金だけを返すための貸付け 金利が今の借金の金利(2件以上なら残高で加重平均)を上回らない。定期の返済で残高が段階的に減ることが見込まれる。さらに1号のイ(1か月の負担が上回らない)と、ハからヘ(担保・保証人)も満たす
2 緊急に必要な医療費を払うための貸付け 返済能力を超えない。その人が今その種類の契約を結んでいない
2の2 特定費用を払うための「特定緊急貸付契約」 返済能力を超えない。合計が10万円を超えない。返済期間が3か月を超えない
3 配偶者と合わせた貸付け 夫婦の借入れの合計が、夫婦それぞれの基準額を足した額を超えない。配偶者の同意がある場合に限る
4 事業を営む個人への貸付け 実地調査や直近の確定申告書などで事業の実態を確認。事業計画・収支計画・資金計画に照らして返済能力を超えない(100万円以下なら事業や資金繰りの状況)
5 これから事業を始める個人への貸付け 計画の確認で、確実に事業に使うと認められる。計画に照らして返済能力を超えない
6 金融機関からの正規の貸付けまでのつなぎの貸付け 正規の貸付けが確実。返済期間が1か月を超えない

貸金業法施行規則 第10条の23第1項(同上)。

第2項は、これらの契約を結んだ業者が保存する書類も決めています。たとえば1号のおまとめなら、新しい契約で将来払う合計と、今の借金の残高・毎回の返済額・将来払う合計を書いた書面です。1の2号なら、新しい契約の金利、返す借金の残高・金利・債権者の名前、その借金を調べた年月日と方法と結果、返済期間と回数、毎回の返済のうち元本に充てる額まで書面に残します。6号のつなぎなら、正規の貸付けが確実だと分かる書面(貸す金融機関が発行したものに限る)か、業者がその金融機関に照会した結果の書面です。

「特定緊急貸付契約」は10万円・3か月まで

2の2号の「特定緊急貸付契約」は、例外の中でいちばん「急な出費」に近い契約です。ただし条文の条件は細かく、合計(同じ種類の契約の残高を、他社の分まで含めて足した額)が10万円を超えないこと、返済期間が3か月を超えないこと、返済能力を超えないことが、すべて求められています。「年収の3分の1を超えていても少しなら」という話は、法律の上では、この10万円・3か月の枠の話です。

条文の第4項は、「特定費用」を二つに決めています。一つは外国で緊急に必要となった費用、もう一つは「社会通念上緊急に必要と認められる費用」です。業者は契約を結んだ時、他社の同じ種類の残高を確かめた信用情報の書面と、費用の領収書など「資金の使途を確認することができる書面」を残さなければなりません(第2項)。外国での費用なら、お金の受け渡しも外国で行うことが条件です(第5項)。使い道を示す書類を出せない「急ぎのお金」は、この例外には入りません。

配偶者と合わせる時は、同意が要る

3号は、夫婦の借入れの合計を、夫婦それぞれの基準額の合計と比べる仕組みです。条文は「当該個人顧客の配偶者の同意がある場合に限る」と書いています。配偶者に知られずに使える例外ではありません。業者は、戸籍の抄本など夫婦の関係を証明する書面と、配偶者の同意書を保存します(第2項第3号)。さらに第3項は、この夫婦合算の契約を使っている人の配偶者に、別に貸す時の上限まで決めています。夫婦のどちらかが枠を使えば、もう一方の枠がその分だけ減る仕組みです。

おまとめの条件を、数字で確かめる

1号の「1か月の負担を上回らない」「将来払う合計を上回らない」という条件が、実際の数字でどうなるかを、当サイトで計算しました。150万円を60回の元利均等で返す場合です。

金利(年) 毎月の返済 60回の合計 利息の合計
18%(今の借金と仮定) 約38,090円 約228.5万円 約78.5万円
15% 約35,685円 約214.1万円 約64.1万円
12% 約33,367円 約200.2万円 約50.2万円

月利=年利÷12で計算した概算。手数料など元本・利息以外の負担は0円と仮定。

同じ回数で金利が下がれば、毎月の負担も合計も下がるので、1号の条件を満たします。逆に、毎月の返済を軽くするために回数を大きく延ばすと、月の負担は下がっても合計が今の借金を上回り、1号の条件から外れることがあります。「おまとめなら3分の1を超えても借りられる」というのは、この二つの条件を両方満たす契約に限った話です。手元に新しくお金が残る形のおまとめは、条文の「当該債務を弁済するために必要な資金」という前提からも外れます。

回数を延ばすと、1号と1の2号で結果が分かれる

同じ150万円を、年15%で84回に延ばした場合と、年12%で84回にした場合も計算しました。

条件 毎月の返済 返済の合計 1号(月の負担・合計) 1の2号(金利・残高の減少)
今の借金:18%・60回 約38,090円 約228.5万円 ― ―
15%・84回 約28,945円 約243.1万円 合計が上回るので外れる 金利が下がり残高も減るので当てはまりうる
12%・84回 約26,479円 約222.4万円 月も合計も下回る 当てはまりうる

当サイトの計算。条件に当たるかどうかは、ほかの要件(担保・保証人など)も含めて業者が判断する。

1の2号は、返す相手がすべて貸金業者である場合の型です。条文の二は、1号の要件のうち「イ」と「ハからヘ」を満たすことを求めていて、1か月の負担が今より重くならないことは同じように必要です。一方で、1号の「ロ」、つまり「将来払う合計が上回らない」という条件は、1の2号には入っていません。代わりに、金利が上回らないことと、残高が段階的に減ることが求められます。そのため、金利は下がっても回数が延びて、返す合計が増えるおまとめも、条文の上では結べることになります。毎月の返済が軽くなったように見えても、15%・84回の例では、合計は今より約14.6万円多くなります。おまとめの見積もりを受け取ったら、毎月の額と合計の額の両方を、今の借金と並べて見てください。

旧版で名前を出していた業者を、今の登録で確かめる

旧版の記載 2026年10月13日に確かめたこと
中央リテール:おまとめローン専門。窓口担当者が全員「貸金業務取扱主任者」の資格を持つ 日本貸金業協会の廃業業者一覧(令和6年度第10回理事会・12月受付分)に「中央リテール株式会社 東京都知事(6)第31283号 廃業」と掲載。金融庁の登録の検索で「中央リテール」「リテール」は0件
キャッシングスペース:大阪の業者で全国対応。他社借入が5〜6件でも枠の大きな一本化を提案してくれることで有名 運営は株式会社スペース、大阪府知事(7)第12865号(金融庁の検索で登録日2026年7月24日)。本店は堺市堺区中瓦町、設立2008年6月4日、資本金3,000万円。公式サイトに「一本化」「おまとめ」の記載は見当たらず、返済プランのページは画像のみ
東京スター銀行:銀行法が適用されるので消費者金融の枠とは別次元 銀行は貸金業者ではないので、貸金業法第13条の2の対象ではない。商品の条件はこの記事では確かめていない

株式会社スペースの公式サイトのトップには、登録番号が「大阪府知事(06)」と「大阪府知事(07)」の2通りで書かれていました。金融庁の検索では(7)で、2026年7月24日に更新されています。トップの上の方に古い番号が残っている形です。同じページには「申込の際に他社を数件紹介して借りられた金額の何%かを紹介料として要求する会社もありますので、ご注意ください」という一文もありました。

旧版は、廃業した会社を「狙うべき」先として案内していたことになります。おまとめを専門にうたう会社でも、何年かのうちになくなることがある、という実例です。申し込む前に、その会社が今も登録を持っているかを確かめる順番を飛ばしてはいけません。

「総量規制の対象外」「年収の3分の1を超えてもOK」と書く登録のない業者は、そもそも貸金業法の外にいるので、上の除外も例外も関係ありません。条文の例外は、登録を受けた業者が、決まった書類を残したうえで結ぶ契約です。書類も確かめずに「超えていても大丈夫」と言う相手は、その時点で条文の外にいます。登録のない業者がどれだけ多いか、正規の業者がどれだけ残っているかは、金融庁の資料集で数えた記事にまとめています。→ 中小の消費者金融は全国255社|金融庁の資料集で数える

年収の3分の1の上限は、申告した年収をもとに計算されます。国民生活センターが2026年5月に公表した事例では、月収10万円強のアルバイトの人が副業の業者に「正社員で年収300万円」と書くよう言われ、その日のうちに複数の消費者金融から合計450万円を借りていました。→ 副業の費用を消費者金融で借りさせる業者|年収の確認をすり抜ける手順

年収の3分の1を超えている人が、今日できる順番

1. 自分の合計を、信用情報で数える

どの契約が合計に入っているかは、住宅ローンや担保つきの自動車ローンが除かれるかどうかで変わります。思い込みで計算せず、契約書と信用情報の記録で一件ずつ確かめます。

2. 足りないのが「新しいお金」か「毎月の返済」かを分ける

毎月の返済が重いだけなら、1号・1の2号のおまとめの条件(月の負担・合計・金利がどれも上回らない)を満たす契約が候補になります。新しいお金が要るなら、10万円・3か月の特定緊急貸付契約の枠か、目的のはっきりした除外の契約しか、条文上の道はありません。

3. おまとめの見積もりで、合計の額を見る

毎月の返済額だけでなく、60回なら60回分の合計が今の借金の合計を下回っているかを確かめます。上の表のように、金利が下がらないまま回数だけ延びる契約は、条件から外れます。

4. 申し込む会社の登録を、今日の日付で確かめる

旧版が案内した会社のように、廃業していることがあります。金融庁の検索で、商号・登録番号・本店が今も載っているかを見てから申し込みます。

まとめ

  • 年収の3分の1の線は貸金業法第13条の2。基準額は「年間の給与及びこれに類する定期的な収入」の合計×1/3
  • 除外(施行規則第10条の21)は住宅・つなぎ・担保つき自動車・高額療養費・有価証券担保・不動産担保・不動産売却代金など。業者は目的を示す書類を保存する
  • 例外(第10条の23)は、条件つきのおまとめ(月の負担も合計も上回らない/金利が上回らず残高が減る)、緊急の医療費、10万円・3か月までの特定緊急貸付契約、配偶者の同意がある夫婦合算、事業資金、1か月以内のつなぎ
  • 150万円を60回で返す場合、18%なら利息約78.5万円、12%なら約50.2万円。回数だけ延ばすおまとめは条件から外れることがある
  • 旧版で紹介した中央リテール(東京都知事(6)第31283号)は日本貸金業協会の廃業業者一覧に掲載。キャッシングスペースは株式会社スペース(大阪府知事(7)第12865号)で、公式サイトにおまとめの記載は見当たらない

借りる前に確かめる順番と相談先は → ソフト闇金で借りる前に確かめること

確かめた資料:貸金業法 第13条の2・第13条の3、貸金業法施行規則 第10条の21・第10条の23(e-Gov法令検索)、日本貸金業協会「廃業業者一覧」(令和6年度第10回理事会・12月受付分)、金融庁の登録業者の検索(「中央リテール」「リテール」「スペース」)、株式会社スペース公式サイト(トップ・会社概要・ご返済プラン)。いずれも2026年10月13日閲覧。