ソフト闇金アバロンは2018年に10人逮捕|報道を並べ直すと倍率は289〜312倍、「ソフト」の正体は利息の貸し足しだった

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ソフト闇金「アバロン」は、2018年11月7日に神奈川・岐阜両県警の合同捜査本部が運営グループの男女10人を逮捕し、同じ月の28日には別の貸付で再逮捕された業者です。ホームページで「借りやすさ、返済のしやすさにこだわった新しい形のソフト闇金」とうたっていました。この記事では、当時の複数の報道を突き合わせ、数字を一つずつ計算し直して、アバロンの言う「ソフト」が実際には何だったのかを確かめます。

この記事の旧版には、事件の要点に誤りがありました。立件された被害者を「神奈川県茅ヶ崎市の男性ら」と書いていましたが、報道では岐阜市の男性会社員ら4人です。摘発したのも神奈川県警単独ではなく、神奈川・岐阜両県警の合同捜査本部でした。また、旧版に載せていた「相談事例」は再構成したもので、アバロンと結びつく根拠はありませんでした。これらをすべて削除・訂正し、2018年の新聞報道と、事件を扱った司法書士事務所の公開記録だけで書き直しています。おわびして訂正します。

事件の流れを日付で並べる

まず、報道から確かめられる出来事を時間の順に並べます。報道によって書き方が違う部分は、どの報道によるかを添えました。

時期 出来事 出どころ
2008年3月ごろ〜 少なくともこの頃から、全国の延べ約2,000人に貸し付けていたとみられる 中日新聞(岐阜県警の説明)
2018年1月〜7月 運営側が管理する口座に約3億円の入金。利息として約1億6,000万円を得ていたとみられる 中日新聞・神奈川新聞
2018年2月〜7月ごろ 岐阜市の男性会社員(48)ら4人に、14回で計33万円を貸し付け、28回で利息計35万5,000円を受け取る(最初の逮捕容疑) 中日新聞・神奈川新聞
2018年3月〜7月 東京都中央区の男性会社員(34)ら8人に、29回で計75万円を貸し付け、62回で利息計98万5,000円を受け取る(再逮捕容疑) 産経新聞
2018年11月7日 神奈川・岐阜両県警の合同捜査本部が、無登録営業と超高金利の疑いで都内の男女10人を逮捕 神奈川新聞・中日新聞
2018年11月28日 神奈川県警生活経済課が、別の貸付について10人を再逮捕 産経新聞

運営側は、東京都内(中日新聞は国分寺市などと報道)に事務所を置き、「アバロン」などの店名を名乗っていました。東京都知事の登録は受けていません。事務所から押収された名簿には約2,000人の顧客の名前があった、と報じられています。

アバロンが自分で掲げていた「条件」

逮捕の半年前、2018年5月8日付で書かれたある紹介サイトの記事に、当時のアバロンのホームページの文言と貸付条件が書き写されています。業者自身の言葉がどうだったかを知るための資料として、要点を拾います(紹介サイトによる転記なので、原文とまったく同じとは限りません)。

どこのソフト闇金を見ても「1週間2割、10日3割」と同じような金利と返済周期ばかり(中略)アバロンではトイチ(10日で金利が1割)での融資を基本とし闇金の原点に回帰いたしました。

つまりアバロンは、「よそは10日で3割だが、うちは10日で1割」と、安さを売りにしていました。紹介サイトが書き写した条件は次のとおりです。

項目 紹介サイトに記録された内容
金利 10日1割・20日2割・30日4割(返済周期を3つから選ぶ)
手数料 5,000円
利用限度額 2万円〜50万円(初回は15万円まで)
貸さない相手 無職、緊急連絡先を言えない人、年金生活者、生活保護受給者、障害年金受給者、外国人など
在籍確認 ホームページでは「在籍確認なしで借りたい」という声に応えたとうたう一方、紹介サイトは「よっぽどの不都合がない限りは在籍確認される」と記録

ホームページの「三つの約束」を、条件と照らし合わせる

アバロンのホームページは、客に聞くと上位に来る要望として「返済周期を長くしてほしい」「金利を安くしてほしい」「在籍確認なしで借りたい」の三つを挙げ、「この全てを叶えた、たった一つの優良ソフト闇金」だと名乗っていました。紹介サイトの記録と報道で、三つを一つずつ確かめます。

ホームページの約束 実際の条件・報道 判定
返済周期を長くできる いちばん長い30日は「4割」。周期が長いほど割高になる料金表 長くすると損をする
金利が安い(トイチ) 定額手数料5,000円が別。2万円なら実質年2,000%前後。報道では法定の最大312倍 安くない
在籍確認なし 紹介サイトの記録では「よっぽどの不都合がない限りは在籍確認される」 記録と食い違う

ホームページには、「闇金からソフト闇金となり約10年が経過」という一文もあったと記録されています。これは、岐阜県警が「少なくとも2008年3月ごろから」貸し付けていたとみている時期と、ほぼ重なります。業者が自分で書いた沿革と、警察の見立てが、同じ10年を指していたわけです。長く続いていることを信用の材料として見せていたその年数は、そのまま無登録で営業した年数でした。

会社らしい体裁も整えていました。紹介サイトの記録では、営業時間は平日の8時から17時、8時から14時までの申込なら当日に振り込み、土日祝日は融資しない、とされています。ホームページは「電話対応から細かなサービスまで社員を徹底的に教育し、まるで大手消費者金融に申し込むような感覚で」とうたっていました。平日の日中だけ営業し、社員教育を語る。こうした普通の会社のような振る舞いこそが、登録が無いことから目をそらさせる役目を果たしていたと言えます。どれだけ丁寧でも、登録番号が無ければ、それは無登録の貸金業です。

「10日1割」に手数料を足すと、どうなるか

この条件で、紹介サイトは2万円を10日借りた場合の例を載せています。利息2,000円と手数料5,000円が先に差し引かれ、振り込まれるのは1万3,000円、10日後に返すのは2万円です。この数字を、手元に来たお金を基準に計算し直しました。

返済周期 振込額 返済額 周期中の負担 単純に年に直すと
10日(1割) 13,000円 20,000円 約54% 約1,960%
20日(2割) 11,000円 20,000円 約82% 約1,490%
30日(4割) 7,000円 20,000円 約186% 約2,260%

※2万円を借りた場合。20日・30日も、10日と同じく利息と手数料5,000円を先に差し引く前提で当サイトが計算。年換算は複利を考えない単純計算。

「10日で1割」という看板だけを見ると、年に直して365%です。それでも正規の上限の18倍を超えますが、手数料5,000円を先に引かれるだけで、2万円の借入なら実際の負担は年2,000%前後に跳ね上がります。借りる額が小さいほど、定額の手数料の重みは大きくなります。30日を選んだ場合は、2万円を借りたつもりでも手元に届くのは7,000円、申し込んだ額の3分の1ほどにしかなりません。長い周期を選べることが「返済しやすさ」として宣伝されていましたが、実際には受け取る額がいちばん少なくなる選び方でした。報道で1回の貸付が平均2万円台だったことを思い出すと、この手数料の設計が、少額を何度も借りる客からもっとも多く取れる形だったことが分かります。

また、年金生活者や生活保護を受けている人には貸さない、としていた点も見逃せません。「誰にでも優しい」わけではなく、働いていて、給料日に確実に払えそうな人を選んで貸していたということです。緊急連絡先を言えない人も断っていました。取り立てを穏やかにしても回収できるよう、入口で相手を選んでいたと読めます。

「法定の何倍」は、報道ごとに違う

アバロンについて調べると、「法定金利の最大292倍」という数字がよく出てきます。旧版もこれを見出しにしていました。ところが報道を並べると、倍率は一つではありません。

報道 対象 書かれた倍率
神奈川新聞(2018年11月7日) 最初の逮捕容疑(4人) 法定利息の15〜289倍
中日新聞(2018年11月7日) 最初の逮捕容疑(4人) 法定金利の最大292倍
日本テレビ系 NEWS24(2018年11月7日) 最初の逮捕(見出し) 金利289倍
産経新聞(2018年11月28日) 再逮捕容疑(8人) 法定金利の約88〜312倍

最初の逮捕について、神奈川新聞は「289倍」、中日新聞は「292倍」と書いています。同じ容疑でも、計算の基準日や端数の扱いで数字が少しずれることはありえます。どちらかが誤りだと決めつける材料はありません。はっきり言えるのは、再逮捕の分では最大312倍という、さらに高い倍率が報じられていることです。「最大292倍」は、事件の上限ではありませんでした。

倍率を年利に直すと、どれくらいになるでしょうか。貸付の上限は、年20%を超えると刑事罰の対象になります。仮にこの年20%を基準に置くと、289倍は年5,780%、312倍は年6,240%です。ただし報道の「法定」がどの基準を指すかは記事に書かれていないので、この年利は目安として見てください。

利息だけで、借りた額を超えていた

倍率よりも実感しやすいのは、報道にある金額そのものです。逮捕容疑と再逮捕容疑の数字を、借りた人の側から計算し直しました。

項目 最初の逮捕容疑 再逮捕容疑
借りた人 4人 8人
貸し付けた回数と総額 14回・33万円 29回・75万円
利息を払った回数と総額 28回・35万5,000円 62回・98万5,000円
1回の貸付の平均 約2万4,000円 約2万6,000円
1回の利息払いの平均 約1万3,000円 約1万6,000円
借りた総額に対する利息の割合 約108% 約131%

一人あたりに直すと、最初の容疑では平均約8万3,000円を借りて約8万9,000円の利息を払い、再逮捕の容疑では平均約9万4,000円を借りて約12万3,000円の利息を払っていた計算です。どちらの容疑でも、払った利息の合計が、借りた金額の合計を上回っています。1回に貸すのは2万円台と少額です。それでも利息の支払いは貸付の2倍の回数あり、1回あたり1万円を超えていました。数万円のつもりで借りた人が、数か月で借りた額以上を利息だけで払っていた計算になります。

会社全体の数字も同じことを示しています。2018年1月から7月までに口座に入ったのが約3億円、そのうち利息として得たとみられるのが約1億6,000万円です。入ってきたお金の半分以上が利息だったことになります。半年あまりでこれだけの額になるのは、少額の貸付を、大勢に、何度も繰り返させていたからです。

「ソフト」の中身は、利息の貸し足しだった

では、アバロンは何をもって「ソフト」と名乗っていたのでしょうか。報道は、その営業の特徴を次のように伝えています。

顧客の返済が滞っても返済の猶予を与えたり、返せない利息分の資金を再び貸し付けるなどしていた。(産経新聞 2018年11月28日の報道より要旨)

厳しい取り立てをせず、払えなければ待つ。払えない利息は、そのぶんをまた貸してくれる。借りる側から見れば、これは「優しい」対応に見えます。しかし数字の上では、まったく別のことが起きています。

払えなかった利息を新しい貸付にすると、その利息分が元の借金に上乗せされ、次からはそこにも利息がかかります。督促は穏やかでも、借金そのものは、払えない月ごとに大きくなっていく仕組みです。上の表で、貸付の回数が一人あたり3回を超え、利息の支払いが貸付の2倍の回数になっていたのは、この貸し足しを繰り返していたことと整合します。

「猶予」と「貸し足し」を見分ける問い

  • 待ってもらった月の利息は、消えたのか、次の借金に入ったのか
  • 次の返済額は、前の月より減ったのか、増えたのか
  • 返し終わる日は、決まっているのか、毎回先に延びているのか

三つとも後者なら、それは猶予ではなく、借金を増やしながら関係を長引かせているだけです。

取り立てが穏やかなことは、借りる側の負担が軽いことを意味しません。むしろ、強く取り立てないからこそ、客は逃げずに払い続けます。2008年ごろから10年にわたって営業を続け、延べ約2,000人を相手にできたのは、この「逃げたくならない」設計があったからだと考えられます。

同じ「払えない客にさらに貸してつなぎとめる」形は、2020年に長崎県警が摘発したソフト闇金メビウスでも報じられています。メビウスはその先で、客に銀行口座を売らせていました。 → ソフト闇金メビウスの摘発と口座売買の実態

当時「優良」と紹介されていたこと

事件を扱った司法書士事務所の一つは、逮捕の翌日のブログで、自分の事務所でもアバロンに関する相談と依頼を20件以上受けていたと書いています。別の法務事務所は、逮捕の前から自分のサイトでアバロンの悪質性を紹介していた業者だと記しています。

一方で、ネット上には当時、アバロンを「優良ソフト闇金」として紹介する記事もありました。今も「ソフト闇金アバロンの口コミ」「アバロンの貸付条件」といった題のページが検索に残っています。摘発されるまで10年近く、良い口コミと悪い相談記録が同時に存在していたということです。口コミの評判が良いことは、その業者が安全であることの証明にはなりません。口コミが比較の材料にならない理由は、別の記事で詳しく書いています。 → ソフト闇金の口コミ・評判は比較できない

2026年9月、「ソフト闇金アバロン」で検索すると何が出るか

事件から8年近くたった今、この名前で検索すると何が出てくるのかを、2026年9月26日に実際に確かめました。上位に並んだページを種類で分けると、次のようになります。

ページの種類 中身
新聞社の記事 神奈川新聞の2018年11月7日の摘発記事
司法書士・法務事務所のブログ 逮捕を伝える記事(再逮捕の追記あり)、相談を20件以上受けたという記録
業者の紹介サイト(1) 2017年12月に書かれ、2019年4月更新のまま。題は「口コミと詳細情報」で、本文に「優良ソフト闇金アバロン」とある一方、「口コミは、ほとんどなく実際に融資をおこなっているかどうかもわかりません」とも書いている
業者の紹介サイト(2) 2018年5月に書かれ、2025年11月に更新。冒頭で逮捕を伝えつつ、その直後に「当サイトの優良街金から即日融資を受けましょう」「無審査でお金を借りれます」と申込ボタンへ誘導している
匿名掲示板 2018年当時の書き込み

目を引くのは紹介サイトの二つです。一つは、題に「口コミ」と掲げながら、本文では口コミがほとんど無いと認めています。「アバロン 口コミ」と検索した人が最初に読む可能性のあるページに、実は口コミが無いということです。もう一つは、逮捕を伝える同じページで、別の借入先への申込を勧めています。事件の記事が、今も集客の入口として使われているわけです。

「審査なし」「無審査で借りられる」とうたう先は、名前がアバロンでなくても、登録番号を確かめるまで信用しないでください。事件のあった名前を検索した人を、別の無審査の借入先へ流す導線そのものが、アバロンが客を集めた方法とよく似ています。

今「アバロン」の名前を見かけたら

2018年に運営グループが逮捕された以上、当時のアバロンがそのまま営業を続けているとは考えにくい状況です。それでも名前が検索や広告に出てくる場合、考えられるのは、事件前の紹介記事がそのまま残っているケースか、知られた名前を別の業者が借りているケースです。どちらであっても、申し込む理由にはなりません。

1.登録番号を求め、金融庁の検索で引く

アバロンは東京都知事の登録を受けずに営業していました。今その名前を名乗る相手が登録番号を示さない、あるいは検索して出てこないなら、当時と同じ無登録の相手です。

2.「猶予」「利息分を貸す」という言葉が出たら、返済額が増えるかを聞く

上の三つの問いを、そのまま相手に聞いてみてください。はっきり答えない相手は、答えると都合が悪い相手です。

3.すでに払い続けているなら、払った記録を時系列で残す

借りた日と金額、払った日と金額を、振込明細やアプリの画面で残します。アバロンの事件でも、何回貸して何回利息を受け取ったかが、そのまま容疑の中身になっていました。

借りてしまったあとの動き方と相談先は、次のページにまとめています。 → ソフト闇金より先に確かめること

アバロンのような摘発は、全国で年にどれくらいあるのか。警察庁の統計では、無登録・高金利のヤミ金融の検挙は平成28年の139事件から令和7年の49事件へ減る一方、令和7年の被害人員は1万人を超えていました。→ ヤミ金の検挙件数・被害額を警察庁の資料で並べた記事

まとめ:アバロンは2018年11月に10人が逮捕され、同月中に再逮捕された無登録の業者です。倍率は報道によって289倍、292倍、312倍と異なりますが、どの報道でも、借りた人が払った利息は借りた額を上回っていました。「ソフト」の正体は、取り立てをしない代わりに利息を貸し足して借金を膨らませる仕組みです。穏やかな対応を、軽い負担と取り違えないでください。

アバロンのように摘発された名前も含め、出回っている業者名を登録の有無で仕分けた一覧があります。 → ソフト闇金 業者一覧(109社)

出典:神奈川新聞(カナロコ)2018年11月7日「HPで「返済しやすいソフト闇金」 出資法違反容疑で摘発」/中日新聞 2018年11月7日「「ソフトヤミ金」10人逮捕 岐阜県警など超高金利疑い」(ネット掲示板への転載で本文を確認)/産経新聞 2018年11月28日「超高金利で貸し付け疑い 男女10人再逮捕 神奈川県警」(転載記事で本文を確認)/ウイズユー司法書士事務所 代表ブログ 2018年11月8日/しもひがし法務事務所 闇金情報ブログ。計算はいずれも報道の数字から当サイトが行ったもの。