ヤミ金は捕まらない?警察庁の検挙統計|無登録・高金利は10年で139→49事件、令和7年は被害者1万160人・約102億円

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「ソフト闇金は捕まらないのか」「摘発されたらどうなるのか」を知りたい人へ。警察庁が2026年3月13日に公表した「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、無登録や高金利で貸したヤミ金融の検挙は、令和7年の1年間で49事件でした。10年前の平成28年は139事件で、およそ3分の1に減っています。それでも、その49事件の被害人員は1万160人、被害額は約102億5,014万円でした。

この記事は、警察庁の資料の数字を、借りる側の目線で並べ直したものです。検挙件数が減ったことは、ヤミ金が減ったことを意味するのか。1件の摘発の裏に何人の客がいたのか。令和7年に検挙された3つの事件は、当サイトで調べてきたソフト闇金の手口とどう重なるのか。数字はすべて警察庁の公表資料からとり、計算した箇所は式を示しています。

ヤミ金融事犯の検挙は、10年で約3分の1に

警察庁は、ヤミ金融事犯を二つに分けて数えています。貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利受領など)の「無登録・高金利事犯」と、貸金業に関連した詐欺や犯罪収益移転防止法違反、携帯電話不正利用防止法違反などの「ヤミ金融関連事犯」です。ソフト闇金が無登録で高い利息を取って貸すこと自体は、前者に当たります。

年 無登録・高金利事犯 ヤミ金融関連事犯
平成28年 139事件 389事件
平成29年 135事件 608事件
平成30年 130事件 588事件
令和元年 118事件 521事件
令和2年 106事件 486事件
令和3年 85事件 417事件
令和4年 60事件 567事件
令和5年 56事件 615事件
令和6年 70事件 569事件
令和7年 49事件 501事件

警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」図表12・図表13。

無登録・高金利事犯は、平成28年の139事件から令和7年の49事件へ、約35%の水準まで下がりました。10年の合計は948事件です。一方のヤミ金融関連事犯は、年によって増減しながら400〜600事件台で推移し、10年の合計は5,261事件でした。貸すこと自体の事件より、それに付随する口座の売買や携帯電話の不正利用、詐欺などの事件の方が、5倍以上多く挙げられています。

警察庁自身は、無登録・高金利事犯が減っている理由を、件数の減少として断定してはいません。資料の「課題と今後の取組」は、近年減少傾向にあるとしたうえで、「業者と対面せずに金銭の貸付けから返済までを完結する形態が主流となるなど巧妙化・匿名化の状況がみられる」と書いています。見つけにくくなっていることと、件数が減っていることが、同じ文の中に並んでいました。

5年分の検挙人員・被害人員・被害額

資料の統計資料(図表26)には、ここ5年間の検挙人員、被害人員、被害額が載っています。無登録・高金利事犯の行だけを抜き出しました。

年 検挙事件数 検挙人員 被害人員 被害額 被害者1人あたり(当サイト計算)
令和3年 85 167人 117,566人 約94億290万円 約8万円
令和4年 60 128人 35,139人 約55億4,301万円 約15万8,000円
令和5年 56 101人 48,530人 約233億304万円 約48万円
令和6年 70 127人 22,407人 約44億6,995万円 約19万9,000円
令和7年 49 87人 10,160人 約102億5,014万円 約100万9,000円

警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」図表26。被害額は1万円未満切捨ての公表値(千円単位)を万円に直した。1人あたりは被害額÷被害人員。

被害人員は、令和3年の約11万8,000人から令和7年の約1万人まで減りました。ところが被害額は年ごとに大きく上下し、令和7年は前年の2倍以上の約102億5,014万円です。被害者1人あたりに直すと、令和3年の約8万円から令和7年の約100万9,000円へ、12倍以上になっていました。

この跳ね上がりには、大きな事件が1件あると平均を引き上げる、という事情があります。後で見るとおり、令和7年に警視庁が検挙したクレジットカード現金化の事件は、受領した元利金が約110億8,600万円でした。件数が少ない年ほど、1件の大型事件で数字が動きます。それでも、1件の摘発の裏に数百人から数千人の客がいる構図は、どの年も変わりません。令和7年なら、49事件で被害人員1万160人、1事件あたり約207人です。

捕まる側の人数も見ておきます。令和7年の無登録・高金利事犯の検挙人員は87人、検挙された法人は3つでした。1事件あたりにすると2人に届きません。検挙事例では、山形の事件で9人、警視庁の事件で13人と1法人が挙げられていて、大きな事件ほど関わった人数も多くなります。この2事件の22人を87人から引くと、残る47事件で65人、1事件あたり約1.4人です(事例の検挙がすべて令和7年の数に入っているとした場合の当サイトの計算)。多くの事件は、ごく少人数で回していた貸し付けだったと読めます。小さな業者ほど、名前やアカウントを替えて別の看板で始め直すのも簡単です。

令和7年に検挙された3つの事件

資料には、令和7年の検挙事例として3件が紹介されています。どれも、当サイトがソフト闇金や個人間融資の記事で取り上げてきた手口と重なります。

事件(都道府県) 手口 客の数・金額 検挙
携帯電話のショートメッセージを使った貸金業法違反等事件(山形) 令和5年3月〜令和6年2月、SMSで融資を勧誘。返済は男らが管理する他人名義の口座に振り込ませた 顧客約1万3,000人に、法定利息の約2.7倍〜約189倍で貸付け。元利金合計約3億円を受領 令和7年5月までに9人を貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利受領等)等で検挙
クレジットカード利用による商品販売を仮装した出資法違反事件(警視庁) ショッピング枠の現金化サイトを運営し、商品の販売を装って「キャッシュバック」名目で実質的に貸付け 平成29年6月〜令和6年6月、全国の顧客約1万7,000人。元利金合計約110億8,600万円を受領 令和7年4月までに13人と1法人を出資法違反(高金利の脱法行為)で検挙
裸の写真等を貸付け条件とした貸金業法違反等事件(兵庫) インターネット掲示板などで融資を希望する女性に連絡し、貸付時に裸の写真や動画を送らせた 令和5年1月〜令和6年3月、複数の女性 令和7年9月までに2人を貸金業法違反(無登録営業)等で検挙

警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(3)検挙事例。

山形の事件は、当サイトが山形の登録業者を調べた記事でも、報道の記録から取り上げています。資料はこの事件について、他人名義の口座約280名義分について「即時に金融機関に対して口座凍結検討依頼を行い、犯行ツールの無力化措置を講じた」と書き、検察庁と連携して約1億8,000万円の追徴金が課されたとしていました。客から集めた返済は、他人名義の口座に振り込まれ、その口座は止められ、利益は追徴で取り上げられる。返済先の口座が止められる仕組みは、別の記事で条文から整理しています。→ ソフト闇金と口座凍結|返済した口座と業者の口座の違い

当サイトが山形の記事で使った地元の報道にも、SMSで勧誘したヤミ金の事件がありました。資料の書き方からは同じ事件だと断定できませんが、県と時期、最大の倍率が一致しているので、並べて比べます。報道は、2024年2月までの1年間で「のべ約5,000人に計約5,000万円を貸し、約1億2,000万円の利益」、金利は「最大で上限の約189倍」と伝えていました。警察庁の資料は、令和5年3月から令和6年2月までに「顧客約1万3,000人」に貸し、「元利金合計約3億円を受領」としています。倍率の上限は189倍で一致していますが、客の数と金額は、報道の時点の数字と、検挙を終えた後の資料の数字とで違います。同じ事件なら、捜査が進むにつれて客の数が倍以上に数え直されたことになります。報道で伝えられる被害の規模は、その時点で分かっている分だけ、ということです。→ 山形の登録業者と、SMSで勧誘したヤミ金の事件

兵庫の事件は、お金を貸す条件として裸の写真や動画を送らせる、いわゆる「ひととき融資」に近い手口です。当サイトは、性的な関係を条件にした個人間融資の摘発事例と研究を、別の記事にまとめています。→ ひととき融資の摘発事例と、表に出にくい仕組み

令和6年の検挙事例と並べる

前の年の資料(令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について)にも、3件の検挙事例が載っていました。令和6年は無登録・高金利事犯が70事件と、前の年から「増加に転じた」年です。

事件(都道府県) 手口 客の数 利息(法定利息の何倍か) 受領した元利金
ギフトカードの売買を仮装(神奈川) ギフトカードを代金先払いで買い取ったように装って貸し、返済はギフトカードを郵送させて現金化 約3,500人 約23倍〜約50倍 約4億9,600万円
SNSを使った出資法違反等(福岡・北海道) SNSで勧誘し、返済は他人名義の口座に振り込ませた 約7,280人 約4倍〜約17倍 約12億円
質屋営業を仮装(宮城) 質屋の営業を装って貸付け 34人 約1.2倍〜約2.5倍 約6,000万円

警察庁「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」(3)検挙事例。

神奈川の事件について資料は、サイバーパトロールで新しい手口を見つけ、「全国で初めて同種手口の検挙に至った」と書いていました。2年分の事例のうち、客の数と金額が両方書かれた5事件を並べると、客1人あたりの元利金は次のようになります(当サイトの計算)。

事件 元利金 ÷ 客の数
山形・SMS(令和7年) 約2万3,000円
神奈川・ギフトカード(令和6年) 約14万2,000円
福岡・北海道・SNS(令和6年) 約16万5,000円
警視庁・カード現金化(令和7年) 約65万2,000円
宮城・質屋の仮装(令和6年) 約176万円

SMSで1万3,000人に声をかけた山形の事件は、1人あたり2万円あまりの少額を、法定利息の最大約189倍で回していました。倍率が書かれた事件で見ると、客が多く1人あたりが小さい事件ほど、倍率が高い傾向がありました。ソフト闇金の料金表で、1万円の枠がいちばん高い利率になっていたのと同じ構図です。反対に、客が34人の質屋の仮装は1人あたり約176万円、倍率は約1.2〜2.5倍でした。少額で数を集める型と、少人数に大きく貸す型が、同じ「ヤミ金融事犯」の中に並んでいます。

相談の数と、相談してくる人の年代

資料には、警察が受けたヤミ金融事犯の相談の件数と、相談した人の年代も載っています。

年 相談受理件数 20歳未満 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 65歳以上
令和3年 5,099件 0.5% 19.6% 19.2% 19.6% 17.3% 10.0%
令和4年 4,047件 0.9% 18.6% 18.4% 19.6% 16.8% 10.9%
令和5年 3,957件 1.0% 20.9% 18.0% 17.9% 17.4% 10.8%
令和6年 3,825件 1.1% 20.8% 17.4% 18.2% 18.4% 9.4%
令和7年 3,501件 2.2% 22.1% 19.5% 18.7% 15.0% 8.1%

警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」図表14・図表15(60歳以上65歳未満と不明の列は省略)。

相談件数は5年で約3割減りましたが、20歳代と30歳代を合わせた割合は令和7年に41.6%と、5年で最も高くなりました。20歳未満も1.1%から2.2%へ倍になっています。資料は、インターネットを含む非対面の手口による相談が約9割(87.3%)を占めるとも書いていました。スマホで検索して、LINEやSMSでやり取りする若い世代ほど、相談の中で割合を増やしています。

年 相談受理件数 無登録・高金利事犯の検挙 検挙1件あたりの相談件数(当サイト計算)
令和3年 5,099件 85事件 約60件
令和4年 4,047件 60事件 約67件
令和5年 3,957件 56事件 約71件
令和6年 3,825件 70事件 約55件
令和7年 3,501件 49事件 約71件

令和7年の相談3,501件に対して、無登録・高金利事犯の検挙は49事件でした。単純に割ると、検挙1件に対して相談が約71件です。相談のすべてが別々の業者とは限らず、この割り算で検挙の確率が分かるわけではありません。ただ、5年続けて、警察に相談が届いた件数に比べて事件として挙げられる件数は数十分の一にとどまっています。相談が減っても検挙も同じように減っているので、比率はほとんど変わっていません。

「匿名・流動型犯罪グループ」の関与

資料は、令和7年に検挙した無登録・高金利事犯のうち、匿名・流動型犯罪グループが関与していたとみられる事件が5事件あったとしています。49事件のうちの5事件、約1割です。概要の章でも、ヤミ金融事犯について「匿名・流動型犯罪グループが関与していた事犯の検挙がみられた」と書かれていました。

当サイトで調べてきたソフト闇金にも、名前や連絡先を次々に替える例がいくつもありました。同じ屋号で複数のLINEアカウントを使い分ける業者、営業終了を告げた後も同じ名前で取引が続いていた業者、連絡手段をLINEから記録の残りにくいSignalへ移した業者です。担当者の名前も、アカウントも、口座も入れ替わる。資料の言う「匿名化」は、借りる側から見ると、相手を特定する手がかりが一つずつ消えていくことです。→ ソフト闇金がLINEからSignalへ移る3つの型

「捕まった業者から借りていた人は、返さなくてよくなるのか」という疑問を持つ人もいます。資料が示しているのは検挙の件数と被害の規模で、個々の借り手の返済がどうなるかではありません。山形の事件では、他人名義の口座約280名義分の凍結を検討するよう金融機関に依頼したと書かれており、摘発の前後で返済先の口座が止まることはありえます。その時に自分の振込の記録が手元に残っているかどうかが、後で被害を申し出る時の材料になります。

警察の統計はヤミ金の側の数字ですが、登録を受けた業者の側にも、金融庁がまとめた数字があります。業者数は1986年の4万7,504から2026年8月末の1,416まで減り、登録業者への行政処分は2024年度に4件でした。→ 金融庁の資料集で数える貸金業者数・平均金利・行政処分

この数字を、自分の判断にどう使うか

1. 「最近は捕まらなくなった」とは読まない

検挙件数の減少について、警察庁は「巧妙化・匿名化」を並べて書いています。件数が減ったことは、ヤミ金が安全になったことを意味しません。令和7年の49事件だけで、1万人を超える被害人員と100億円を超える被害額が数えられています。

2. 1件の摘発の裏にいる客の数を知っておく

山形の事件は約1万3,000人、警視庁の現金化の事件は約1万7,000人でした。自分が借りている相手も、同じ規模で客を抱えている可能性があります。その中の一人として、勤め先や家族の連絡先を預けているということです。

3. 「法定利息の何倍か」で自分の取引を測る

山形の事件の利息は、法定利息の約2.7倍から約189倍と書かれていました。自分が受け取った額と返す額から年利を出し、法律の上限と比べれば、自分の取引がこの幅のどこにあるかが分かります。当サイトで調べた業者の料金表では、1万円・7日の契約で年5,000%を超えるものが珍しくありませんでした。→ 同じ料金表を掲げるソフト闇金16社の計算

4. 返済の記録と、相手の名乗りを残しておく

摘発の前後には、返済先が止まり、相手と連絡が取れなくなることがあります。メビウスの事件でも、借りていた男性は返済日に連絡が取れなくなり、その約1か月後に県警から連絡を受けていました。振込の控え、相手のアカウント名や電話番号、やり取りの画面は、捨てずに残してください。

都道府県ごとの登録業者と、地元で摘発されたヤミ金の事件は、当サイトの県別の記事でも整理しています。全国の数字と地元の事件を並べると、どの手口が自分の近くで実際に起きているかが見えてきます。→ ソフト闇金の条件と各地の記事を一覧で見る

まとめ

  • 無登録・高金利のヤミ金融の検挙は、平成28年の139事件から令和7年の49事件へ。10年で約3分の1に減った
  • 令和7年の49事件で、被害人員は1万160人、被害額は約102億5,014万円。被害者1人あたり約100万9,000円で、令和3年の約8万円から大きく増えた
  • 警察庁は件数の減少とあわせて、非対面で貸付けから返済まで完結する形が主流になり「巧妙化・匿名化」していると書いている
  • 令和7年の相談は3,501件。20歳代・30歳代が41.6%、20歳未満は2.2%と、若い世代の割合が増えた。非対面の手口が87.3%
  • 山形のSMSの事件は顧客約1万3,000人、他人名義の口座約280名義分の凍結検討を依頼。警視庁の現金化の事件は約1万7,000人、約110億8,600万円

借りる前に確かめる順番と相談先は → ソフト闇金で借りる前に確かめること

確かめた資料:警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2026年3月13日公表、訂正版PDF、図表12〜15・図表26・検挙事例・用語の説明。2026年10月12日閲覧)/当サイトの個別記事(山形の登録業者とヤミ金事件、ひととき融資、メビウス事件、口座凍結、Signal への移行、同じ料金表の16社)