「車金融」「乗ったまま融資」には、正規に登録された貸金業者も、登録のない違法な業者も、同じ言葉で並んでいます。2026年9月27日に「車金融 乗ったまま融資」で検索して上位に出た車金融の専門店のうち、4社を金融庁の検索で確かめると、4社とも正規の登録業者で、金利は年20%以内でした。一方で、神奈川県は「乗ったままOK」の広告を出す「車リース金融」を、ヤミ金融の手口として名指ししています。この記事では、正規の車金融が実際にどう貸しているかを確かめ、違法な車金融との分かれ目を、契約の形から見分けられるようにします。
この記事の旧版は、車金融の一般的な危険性と、相談窓口や公的な支援の説明を並べる形でした。今回はそれらを削り、金融庁の登録業者の検索結果、各社の公式サイトの表示、神奈川県の「ヤミ金融の手口」のページだけを材料に書き直しています。
検索上位の車金融4社を、登録で確かめる
「車金融 乗ったまま融資」の検索結果に出てきた車金融の専門店のうち、公式サイトに貸金業の登録番号を載せていた4社を、金融庁の検索と照らしました。
| 屋号(公式サイト) | 金融庁の検索結果 | 公式サイトの金利表示 | 一致したか |
|---|---|---|---|
| 車金融のナルト | ナルト株式会社・東京都知事(6)第31301号・足立区綾瀬 | (トップページに年率の表示なし) | 番号本体は一致。ただしサイトは(5)のまま |
| オーテック | 個人名義の登録・東京都知事(2)第31834号・練馬区 | (トップページに年率の表示なし) | 一致 |
| 自動車金融アールズ | 個人名義の登録・東京都知事(12)第11310号・港区 | 実質年率6.4〜20.0%・遅延損害金年20.0% | 検索で登録を確認(所在地は、サイトの「新橋駅・汐留駅から徒歩」の案内とも合う) |
| アトムローン | 有限会社アトム・コミュニケーションズ・山口県知事(8)第01465号・下関市 | 実質年率15.0〜20.0%(無利息期間の終了後) | 一致 |
このときの検索結果の上位9件は、車金融の業者のサイトが4件(アトムローン・オーテック・ナルト・アールズ)、車担保の融資を解説する記事が5件という顔ぶれでした。少なくとも検索の上位に出てくる車金融の専門店は、登録番号を自分のサイトに載せ、金融庁の検索でも確かめられる業者だったということです。違法な業者は、検索よりも、SNSや迷惑メール、チラシといった別の入口から近づいてくることが多いと考えられます。入口がどこだったかも、判断の材料になります。
4社とも、登録を受けた正規の貸金業者でした。金利を表示している2社は、どちらも上限の年20%以内です。「車金融」という言葉そのものは、違法な業者を指す言葉ではありません。車を担保に貸すこと自体は、登録を受けた業者なら正規の商売です。
サイトの表示が古いこともある
一つ気づいたことがあります。ナルトの公式サイトの下部には「貸金業登録番号 東京都知事(5)第31301号」と書かれていましたが、金融庁の検索では(6)で、登録(更新)日は2025年2月16日でした。更新して括弧の数字が一つ増えたのに、サイトの表示がそのままになっていると考えられます。同じサイトには、新型コロナの拡大防止のための時短営業の案内も残っていました。
これは、正規の業者でもサイトの表示が古いことがある、という実例です。照合するときは、括弧の中の数字よりも、「東京都知事」と「第31301号」という登録先と番号本体を合わせ、社名と所在地で確かめるのが確実です。括弧の数字が一つ違うだけで偽物と決めつけると、本物を疑ってしまうことになります。反対に、番号本体や社名が違うなら、それは表示が古いのではなく、別の相手です。
「創業35年」と括弧の数字が合っている例
アールズの公式サイトは「平成3年創業」「創業35周年」とうたっています。金融庁の検索での括弧の数字は(12)で、3年ごとの更新を11回重ねた計算になります。これは33年から36年ほど登録を続けてきたことを意味し、平成3年(1991年)からという創業の年数と矛盾しません。
業者が自分で書く「創業◯年」は、誰かが確かめた数字ではありません。しかし、登録番号の括弧の数字と照らせば、その年数が本当らしいかどうかの見当はつきます。逆に、「創業30年」をうたいながら括弧が(1)や(2)の相手なら、話が合いません。
「全国対応・来店不要」は、正規の車金融の形と合わない
ナルトのサイトには、営業エリアとして東京の足立区・葛飾区・北区などのほか、埼玉県の三郷・八潮・草加・越谷、千葉県の流山・柏・野田、さらに栃木県や群馬県の一部の地名が並んでいました。高島平店と葛西店を綾瀬店に統合したという案内もありました。車で来店して査定を受ける仕組みなので、店まで車で行ける範囲がそのまま営業の範囲になる、ということです。アトムローンは山口県下関市、アールズは東京都港区の新橋にあり、どちらも店舗の所在地を示しています。
この形から考えると、「全国どこでも来店不要」「写真を送るだけで乗ったまま融資」という広告は、正規の車金融の貸し方と合いません。担保の車を見ずに貸すなら、それは車を担保にした融資ではなく、車の書類や名義を押さえることが目的の取引かもしれません。車検証の写しや印鑑証明書を、店舗の所在地も分からない相手に送るのは避けてください。
括弧の数字から見る4社の歴史
登録番号の括弧の数字は、3年ごとの更新の回数を表します。4社を並べると、アールズの(12)は33〜36年ほど、アトム・コミュニケーションズの(8)は21〜24年ほど、ナルトの(6)は15〜18年ほど、オーテックの(2)は3〜6年ほど登録を続けてきた計算になります。車金融は、昔から地域に根を張ってきた業者と、比較的新しい業者が混在する業界だということが分かります。
新しい業者だから怪しい、ということにはなりません。オーテックは東京都知事の登録を受け、公式サイトの番号も金融庁の検索と一致していました。大事なのは年数の長さではなく、登録があり、番号と所在地が一致しているかです。
正規の車金融は、どう貸しているか
次に、正規の車金融の貸し方を、公式サイトに書かれた流れから確かめます。ナルトのトップページには、融資までの流れが次のように書かれていました。
| 段階 | ナルトの公式サイトの説明(要旨) |
|---|---|
| 問い合わせ | まず電話で、車金融の仕組み、融資できる額のおおよそ、必要な書類を説明する |
| 来店と査定 | 担保にする車で来店してもらい、車を査定して融資できる額を示す |
| 契約 | 契約の内容を確認してもらいながら、契約書などを作る |
| 受け取り | 査定から現金の受け渡しまで30分ほど |
| 営業時間 | 平日10時〜17時、土日祝日は休業 |
アトムローンのサービスのページにも、車を担保として預かって融資する金融会社であること、無利息期間の後は実質年率15.0〜20.0%になることが書かれ、登録番号と所在地、加盟する指定信用情報機関の名前が並んでいました。
ここから見える正規の車金融の特徴は三つです。車を実際に見て査定すること、契約書を作ること、金利を年率で示すことです。車という高い担保を預かる以上、査定と書面は欠かせません。車を見ないまま「写真だけで融資」、契約書を作らずに「LINEのやり取りで契約」、金利を「◯日で◯割」と示す、といった相手は、この三つのどれにも当てはまりません。
正規の車金融の条件を数字で見る
公式サイトに条件を細かく載せていたのは、アールズとアトムローンでした。
| 項目 | アールズ | アトムローン(カーキャッシング) |
|---|---|---|
| 実質年率 | 6.4〜20.0% | 15.0〜20.0%(初回50万円以下は最大30日無利息) |
| 遅延損害金 | 年20.0% | (サービスのページでは確認できず) |
| 返済の期間・回数 | 60か月以内・60回以内(要審査) | (返済シミュレーションのページで案内) |
| 貸付の限度額 | 10万円〜1億円 | (初回無利息は50万円以下が対象) |
| 必要書類 | 印鑑証明書・実印・車検証 | (申込みのページで案内) |
アールズは遅延損害金も年20.0%と明記しており、返済が遅れたときの負担も上限の範囲に収めています。どちらも、金利は年20%を上限にした範囲で示され、返済は最長60回のように分けて返せる形です。仮に30万円を年20%で借りて12回の元利均等返済で返すと、毎月の返済は約2万7,790円、合計は約33万3,484円になります。高い金利ではありますが、12回払い終われば借金は無くなり、車も手元に残ります。元金が減っていく形になっている点が、利息やリース料だけを払い続ける形とは決定的に違います。
アトムローンの無利息サービスは、アトムと初めて契約する人で、初回の融資額が50万円以下の場合に、契約日の翌日から初回の入金日まで最大30日間を無利息にする、というものでした。無利息の期間中に返済日が来たときは、残高に応じた返済額を入れる必要があり、入れた額は元金に充てられると書かれています。正規の業者は、こうした条件を細かく書いて示します。「無利息」「即日」といった言葉だけで中身の書かれていない広告とは、そこが違います。
アトムローンは、車を担保にした事業者向けのローンも扱い、事業の資金であることなど一定の条件を満たせば、個人の年収による借入の上限の例外になる、と説明していました。正規の業者は、法律のどの決まりに基づいて貸しているのかも、このように書いています。
ただし、正規の車金融にも当然リスクはあります。アールズのサイトは、返済が滞っても担保の車が第三者に売却されるだけだ、という趣旨の説明をしていますが、裏を返せば、払えなくなれば車を失うということです。車が通勤や仕事に欠かせない人にとって、これは小さなことではありません。正規であっても、車を担保にすることの重さは変わらない、と考えておくべきです。
在籍確認がいらない理由
ナルトの公式サイトには、車が担保になるので保証人は必要なく、在籍確認の電話なども不要だ、という趣旨の説明がありました。担保があるから勤務先への確認をしない、というのは筋の通った説明です。ただし、それは車という担保を実際に預かる、または担保として押さえるからこそ成り立つ話です。担保も査定も無いのに「在籍確認なし」をうたう相手とは、まったく別物です。
神奈川県が名指しする「車リース金融」
では、違法な車金融はどういう形をとるのでしょうか。神奈川県の「ヤミ金融の手口」のページは、家具を使った手口と並べて、次のように説明しています。
債務者の家具一式を買い取る売買契約を結び、売買代金としてお金を渡し、その家具一式を債務者にリースする旨のリース契約を結び、家具はそのまま家に置き、リース料として法外な利息を取ります。同様の手口として「乗ったままOK」などの広告を出している車リース金融もあります。(神奈川県「ヤミ金融の手口」より)
つまり、違法な車金融は、貸付ではなく「車を買い取って、その車を借り手にリースする」という形をとります。借り手から見れば、車に乗り続けられてお金も手に入るので、「乗ったまま融資」と同じに見えます。しかし契約の上では、車の持ち主は業者に移り、借り手は自分の車を借りている立場になります。そして毎月払う「リース料」が、実際には法外な利息の役目を果たします。
正規の車金融と、車リース金融の違い
| 比べる点 | 正規の車金融(登録業者) | 車リース金融(県が名指しする手口) |
|---|---|---|
| 契約の名前 | 金銭の貸付(金銭消費貸借) | 車の売買契約+リース契約 |
| 車の持ち主 | 借り手のまま(担保として押さえられる) | 業者に移る |
| 毎月払うもの | 元金と利息(年20%以内) | リース料(実質は法外な利息) |
| 金利の示し方 | 実質年率で示す | 「月々◯円」「◯日で◯割」 |
| 登録番号 | 貸金業の登録番号を示す | 示さない、または古物商の許可だけを示す |
最後の行に注意してください。車を買い取る業者は、古物商の許可を持っていることがあります。正規の車金融の中にも、ナルトのように貸金業の登録番号と古物営業の許可番号の両方を載せている業者があります。古物商の許可は、中古品を売り買いするための許可で、お金を貸すための許可ではありません。「許可番号があるから大丈夫」と言われても、貸金業の登録番号が無ければ、お金を貸す資格は確かめられません。
神奈川県の同じページは、ほかにも「買取屋・換金商法」として、「信用を調査する」と称してクレジットカードで指定の商品を買わせ、それを格安で買い取る手口を挙げています。車リース金融と同じで、売買の形を借りて、実際にはお金を貸していることが共通しています。名目が「買取」や「リース」でも、お金を受け取り、あとで多く払う形になっているなら、それは貸付として疑ってかかるべきです。
車を業者に預けたまま戻ってこないトラブルは、融資以外の場面でも起きています。福岡県警察は2026年9月25日、ネット検索で見つけたロードサービス事業者による高額請求や、車両が返還されないトラブルが増えていると注意を呼びかけました。車は、手元から離れた瞬間に取り戻すのが難しくなる財産です。所在地や素性の確かめられない相手に、車や車の書類を渡さないことが、融資でもそれ以外でも共通の身の守り方です。
車リース金融で起きること
車リース金融の契約をしてしまった場合に、どういう順番で困ったことが起きるのかを、契約の形から考えます。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 契約 | 車を「売る」契約書と、その車を「借りる」契約書に署名する |
| 受け取り | 「売買代金」としてお金を受け取る。いくらで買い取るかは業者が決める |
| 毎月の支払い | 「リース料」を払い続ける。払っても車は自分のものに戻らない |
| 遅れたとき | 車の持ち主は業者なので、契約違反として車を引き上げられるおそれがある |
| 取り戻したいとき | 「買戻し」の代金として、受け取った額より高い額を求められる |
正規の車金融なら、返済が遅れたときにどうなるかは、貸付の契約書と法律の範囲で決まります。車リース金融では、最初に車の持ち主が業者に移っているので、借り手の立場はずっと弱くなります。「乗ったまま」でいられるのは、業者が引き上げないと決めている間だけです。
「自分の車を借りる」契約の不自然さ
冷静に考えると、自分が乗っている車を業者に売り、同じ車を業者から借りる、という取引は不自然です。車を手放す気が無いのに売るのは、お金を借りるためにほかならず、その実態は貸付です。神奈川県がこの形を「ヤミ金融の手口」として挙げているのは、まさにそのためです。売買やリースという言葉を使っても、実態が貸付なら、貸金業の登録が要ります。
契約書に「売買」「リース」「買戻し」といった言葉が並んでいたら、署名する前に手を止めてください。お金を借りたいのに、車を売る契約をしようとしていないか。そこが最初の分かれ目です。説明の中で「融資」と言っていても、書類の題名が「売買契約書」なら、書類のほうが契約の中身です。口頭の説明ではなく、署名する紙に何と書いてあるかで判断してください。
乗ったまま融資を考えている人が、今日確かめること
1.貸金業の登録番号を聞き、金融庁の検索で引く
正規の車金融なら、公式サイトに登録番号があります。検索して、社名・所在地・電話番号まで合わせます。括弧の数字が一つ違う程度なら、サイトの表示が古いだけのこともあるので、番号本体と社名で確かめます。
2.契約書の題名を見る
「金銭消費貸借」なら貸付です。「売買」「リース」「買戻し」なら、神奈川県が名指しする車リース金融の形です。
3.金利を年率で聞く
正規の業者は実質年率で答えます。今回確かめた2社は年20%以内でした。「月々◯円」「◯日で◯割」としか答えない相手は、年率を言えない理由があると考えてください。
4.車を見ずに貸すと言われたら疑う
正規の車金融は、車で来店してもらって査定します。写真だけで即日融資、という話は、担保を確かめる手順を飛ばしています。
5.車の書類は、店舗で手渡す
正規の車金融で求められる印鑑証明書・実印・車検証は、どれも車の名義を動かすのに使える書類です。店舗の所在地が確かめられる相手に、来店して手渡すのが基本です。郵送やアップロードで先に送るよう求められたら、そこで立ち止まってください。
すでに車を売る形の契約をしてしまった、リース料の支払いに困っている、という場合の動き方は、次のページにまとめています。 → ソフト闇金より先に確かめること
福岡・北九州の車金融の事情は、地域の記事で扱っています。 → 福岡・北九州の車金融
まとめ:検索上位の車金融4社は、どれも正規の登録業者でした。車金融という言葉そのものは違法を意味しません。分かれ目は契約の形です。正規の車金融は、車を査定し、貸付の契約書を作り、年20%以内の金利を年率で示します。一方、神奈川県が名指しする車リース金融は、車を買い取ってリースする形をとり、車の持ち主を業者に移したうえで、リース料として法外な利息を取ります。「乗ったまま」の言葉ではなく、契約書の題名と登録番号で見分けてください。
出典:金融庁 登録業者の検索(ナルト・オーテック・アールズ・アトム、2026年9月27日)/各社の公式サイトの表示(2026年9月27日閲覧)/神奈川県「ヤミ金融の手口」。

