はじめに
「どうせまた審査に落ちるんだろう」
「ブラックになったら人生終わり」
そんなふうに思っていた。
でも、現実は違った。これは、自己破産から5年が経過した男が、正規の消費者金融から再び“信用”を得た体験談である。
借りた金額は10万円。
けれど、それはただのお金ではなかった。
「もう一度、社会に認めてもらえた気がした」
そう語る彼の再起の記録を、この記事で伝えていく。
自己破産から5年。信用情報の“冷却期間”が終わっても、現実は甘くなかった
自己破産をしたのは、30代前半の頃だった。
当時、自営業として小さな事業を始めたが、軌道に乗ることなく廃業。残った借金を返しきれず、裁判所を通じて自己破産。
官報に名前が載り、信用情報には“事故情報”が刻まれた。
その後は、地道に働いた。年収は300万円程度、毎月の家賃は6万円。借金はゼロ。クレジットカードも使っていない。
「もうそろそろ、どこか通るかもしれない」
そう思い、プロミス・アコム・アイフルと、大手のカードローンへ申し込んだ。
結果は——すべて即否決。
「やっぱり、ブラックはブラックのままなのか」
気持ちが沈んだ。
そんな中でネット検索から見つけたのが、大阪にある中小の消費者金融、フクホーだった。
フクホーとの出会い|たどり着いた“正規のラストチャンス”
大手3社に断られ、もはや選択肢はないと思っていた。
「ブラックでも借りられる 消費者金融」—— 半信半疑で検索して出てきた名前の一つが、“フクホー”だった。
サイトはどこか昔ながらの雰囲気で、派手な言葉もなく、静かに情報が並んでいた。
けれど、そこに書かれていた言葉に目が止まった。
債務整理・自己破産経験者も審査対象です。
——本当に、見てくれるのか?
申し込みフォームには「正社員」だけでなく、「派遣社員」や「パート」の欄もあった。
正直、不安はあった。 けれど、“正規業者”で借りられる可能性があるなら、それに賭けたかった。
数分で申し込みを終えると、翌日の午前中。フクホーから電話がかかってきた。
電話ヒアリングと審査通過|過去じゃなく“今”を見てくれた
電話対応の声は落ち着いていて、冷たくない。 機械的な質問ではなく、一つひとつが会話のようだった。
「今のお勤め先は、どのくらいになりますか?」 「お支払いは無理なくできそうですか?」
過去に自己破産したことも、正直に話した。 驚いたのは、その対応だった。
「なるほど。それでは現在のご収入や生活状況から、返済可能かを確認させていただきますね」
——怒られなかった。 ——責められなかった。
書類提出後、2日と経たずに再度の連絡。
「審査、無事に通過となりました。10万円のご融資で進めてまいります」
電話を切ったあと、スマホを握った手が震えた。 自分はまだ、信用される余地があるんだ。 そう思えた瞬間だった。
振込確認と現実の感情|数字以上の意味があった10万円
指定口座に振り込まれた金額は、10万円ちょうど。 数字だけを見れば、小さな融資かもしれない。
けれど、通帳にその数字を見た瞬間、こみ上げてきた感情は「安堵」でも「感謝」でもなく、ただ——涙だった。
あの自己破産の日から、もう誰にも信用されないと思っていた。 その自分に対して、「あなたに10万円を預けてもいい」と判断してくれた企業があった。
これほどの“信用回復の実感”が、他にあるだろうか?
お金の価値は、状況によって変わる。 この10万円は、過去から未来への橋渡しだった。
他社との違いと“人”の重み|AIでは拾われなかった声を、拾ってくれた
プロミス・アコム・アイフル。 申し込んだ大手は、いずれも入力フォームだけで完結する自動審査だった。
情報を打ち込み、「結果はメールでお知らせします」の画面。 届いたのは、定型文の「お断りのお知らせ」。
一方でフクホーは、人が対応して、人が判断して、人が電話してくれた。
ヒアリングの声色、反応の柔らかさ、過去の事情を理解したうえでの進行。 そこには、AIにはできない“温度”があった。
「この人は、信用してもいい」—— その一言は、アルゴリズムじゃなく、“誰かの感覚”でしか出せないはずだ。
だからこそ、ブラックだった自分は救われた。
正規の中小金融には、まだ“人間の審査”が残っていた。
返済が始まって変わった意識|“借金”ではなく“信用のリハビリ”だった
毎月の返済額は、およそ9,000円。 金利は高めであることも、最初から分かっていた。
でも、その金額を払うたびに感じたのは、金銭的な痛みではなかった。
「返済している=信用を積み上げている」 そんな感覚だった。
毎月の引き落としが無事に終わるたび、通帳を見ては「また一歩、前に進めた」と実感する。
ブラックの自分でも、コツコツ返していけば、また“信用”を積み直すことができる。
借金は悪じゃない。無責任が悪なんだ。
そう気づいたとき、かつて抱いていた「どうせ無理だ」という諦めが、少しずつ溶けていった。
ブラックでも再起できる社会の可能性|小さな選択が、人生を変える
あのとき、フクホーという名前を見つけていなければ。
あのとき、「どうせ無理」と諦めて申し込まなければ。
今、ここでこうして生活を立て直せている自分はいなかった。
人は、制度に救われるんじゃない。 人に、そして“正規のしくみ”に、きちんと存在を認められることで、再起できる。
闇金に走っていたら、今のような穏やかな気持ちは手に入らなかっただろう。
正規で借りる——たったそれだけの選択が、人生の底から光を引き寄せる一手になることもある。
過去の履歴は消せない。 でも、未来の履歴は、今日から積み上げられる。
まとめ|「信用されたい」その想いが、すべてのスタートだった
この記事をここまで読んでくれたあなた。 もしかしたら、今まさに、同じように「借りられない現実」に直面しているかもしれない。
でも、絶望するにはまだ早い。
自己破産経験者でも、きちんと働き、生活を整え、誠実に向き合えば、“正規で借りられる道”は確かにある。
たとえ少額でも、それは信用の再出発点になる。 そしてその一歩は、数年後の自分の未来を変える。