公的な給付や貸付けを申し込んだ。審査は通りそうだけれど、入金は来週。今日の食費が無い。そう検索した人の前に出てくるように作られていたのが、「てあてなび」(teatenavi.com)というサイトです。
サイトの上半分は、失業、住まい、医療費、子育てなどの公的な支援制度を「やさしい言葉で解説」する記事の入り口です。そしてトップのいちばん上には、「今日の生活費、どうしよう? 入金日までのつなぎ資金。」という見出しと、「¥1,000〜¥150,000でサポート。Web申し込み最短3分、即日対応。証明書不要・使いみちも自由です」という一文がありました。
闇金の被害を扱う司法書士事務所(しもひがし法務事務所)の闇金リストは、2026年10月30日に「てあてなび(テアテナビ)」を闇金として載せています。この記事では、サイトが自分で書いていた料金を、申込み額ごとに、実際にいくら振り込まれるのか計算し直しました。
サイト自身が書いていた料金
2026年11月6日にteatenavi.comを開くと、サーバーの接続エラー(525)が返り、ページは表示されませんでした。そこで、インターネット上の保存記録(Wayback Machine)に残っていた2026年9月11日と10月2日のページを読みました。料金は「特定商取引法に基づく表記」と「よくある質問」、利用規約に書かれています。
| 項目 | サイトの記載 |
|---|---|
| サービス名 | てあてなび つなぎ資金サポート |
| 内容 | 公的支援制度の審査中に入金を待てない方への一時的な資金サポート |
| 金額 | 1,000円〜15万円(1,000円単位) |
| 手数料・利息 | 手数料3,000円。利息は「3.0%/日(お申し込み金額 × 返済期間の日数で計算)」。いずれも振込時にお申し込み金額から差し引く |
| 返すお金 | 「ご返済いただく金額はお申し込み金額と同額です」(よくある質問) |
| 返済期限 | 申込み時に指定した返済予定日。利用規約では「お申し込み日から7日以上14日以内」 |
| 返し方 | 銀行振込(振込先は審査通過後に案内) |
| 申込みに要るもの | 名前、メールアドレス、希望金額、現在の状況、返済予定日(電話番号は任意)。申込みフォームには「収入・借入」の入力段階もある |
| 事業者 | てあてなび(個人名の代表者)、東京都渋谷区代々木1-44、連絡はメール |
出典:teatenavi.com の特定商取引法に基づく表記(最終更新日 2026年4月8日)、よくある質問、利用規約(最終更新日 2026年2月4日)、申込みページ。いずれも Wayback Machine の保存記録。
表の中で大事なのは二つです。利息が1日あたり3.0%であること。そして、手数料と利息を先に引いた額しか振り込まれず、返すのは申し込んだ額そのままだということです。日利3.0%は、それだけで年1,095%にあたります。けれど先に引かれる分を入れると、実際の重さはもっと大きくなります。
申込み額ごとに、振り込まれる額を計算する
サイトの書き方どおりに計算します。振り込まれる額=申込み額−手数料3,000円−(申込み額×3.0%×日数)。返す額=申込み額です。返済期限は規約で7日から14日なので、その両端で計算しました。
| 申込み額 | 日数 | 振り込まれる額 | 返す額 | 差(実際の負担) | 年あたりに直した率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1万円 | 7日 | 4,900円 | 1万円 | 5,100円 | 約5,427% |
| 1万円 | 14日 | 2,800円 | 1万円 | 7,200円 | 約6,704% |
| 3万円 | 7日 | 2万700円 | 3万円 | 9,300円 | 約2,343% |
| 3万円 | 14日 | 1万4,400円 | 3万円 | 1万5,600円 | 約2,824% |
| 5万円 | 14日 | 2万6,000円 | 5万円 | 2万4,000円 | 約2,407% |
| 15万円 | 14日 | 8万4,000円 | 15万円 | 6万6,000円 | 約2,048% |
計算:年あたりの率=差÷振り込まれる額×365÷日数。サイトの申込みページで最初から選ばれていた金額は3万円。
申込みページで最初から入っていた金額は3万円でした。3万円を14日で申し込むと、振り込まれるのは1万4,400円です。手元に来る額より、引かれる額のほうが多い。それでも返すのは3万円です。
比べるために、お金を貸す業者が10万円未満の貸付けで取ってよい利息の上限は年20%です。1万4,400円を14日借りた場合、上限の利息は約110円です。てあてなびの書き方では、同じ期間の負担が1万5,600円になります。約140倍です。
3万円を14日で申し込み、返済日に3万円が用意できなかったとします。同じサービスに申し込み直して3万円を作るには、手数料と14日分の利息を引かれても3万円が残る額、つまり約5万7,000円を申し込む必要があります(1,000円単位)。その14日後には5万7,000円を返す番です。それをまた申し込み直しで作るなら、約10万4,000円。さらにその次は約18万5,000円が必要になり、サイトの上限の15万円を超えます。最初に手元に来たのは1万4,400円でした。6週間足らずで、行き止まりになる計算です。
計算:必要な申込み額=(返す額+3,000円)÷(1−0.03×14)。1,000円未満は切り上げ。
「¥1,000から対応」は、計算が合わない
サイトは「¥1,000から対応」「必要な分だけ申し込めます」とうたっています。ところが、この料金の仕組みで少ない額を申し込むと、計算が成り立ちません。
| 申込み額 | 7日の場合に振り込まれる額 | 14日の場合に振り込まれる額 |
|---|---|---|
| 1,000円 | −2,210円 | −2,420円 |
| 3,000円 | −630円 | −1,260円 |
| 4,000円 | 160円 | −680円 |
| 5,000円 | 950円 | −100円 |
手数料3,000円が固定で先に引かれるので、1,000円や3,000円を申し込むと、振り込まれる額はマイナスになります。4,000円を7日で申し込めば振込は160円で、返すのは4,000円です。振り込まれる額がプラスになるのは、7日なら約3,800円より上、14日なら約5,200円より上を申し込んだときだけです。
つまり、「1,000円から」という看板の数字は、サイト自身の料金表と両立しません。小さな金額で入り口を低く見せ、実際には数万円の申込みに進ませる作りと読めます。申込みページで最初から3万円が選ばれていたことも、この見方と合います。
二つの顔:制度の解説と、日利3%の貸付け
てあてなびがほかの闇金と違うのは、サイトの大半が「公的支援制度ポータル」として作られていたことです。保存記録の一覧には、30本ほどの解説記事のページが残っていました。家賃や税金、保険料が払えないとき、失業したとき、医療費が重いとき、子育ての費用が足りないとき。どれも、お金に困った人が実際に検索する言葉です。トップには「日本には200以上の公的支援制度があります。やさしい言葉で解説します」とあります。
トップの中ほどには、「あなたの状況から探す」という欄があり、次の六つの入り口が並んでいました。
| 「あなたの状況から探す」の項目(トップページの表記のまま) |
|---|
| 失業・休職中で収入がない |
| 家賃が払えない・住む場所がない |
| 医療費の負担が大きい |
| 子どもの教育費や生活費が厳しい |
| 生活費が足りない・食費に困っている |
| 借金の返済で苦しい |
最後の「借金の返済で苦しい」に目を留めてください。返済に苦しんでいる人を、制度の解説で呼び込み、同じサイトで日利3%の申込みへ案内する。借金に困っている人に、さらに重い借入れを差し出す入り口が、サイトの設計の中に最初から組み込まれていました。トップに出ていた新しい記事は「お金がない時の対処法」という分類で、電気・ガス・水道が止まりそうなとき、休職中で生活費が足りないとき、住民税や国民健康保険料が払えないとき、といった題でした。
そして、保存されていたページを開くと、どのページでも画面の下のメニューに「申し込む」が並んでいました。申込みページの最後には「公的制度もご検討ください」として、公的な貸付けの記事へのリンクが置かれています。制度を紹介しながら、その入金を待つあいだの資金を、自分たちが日利3%で出す。公的制度を調べに来た人を、そのまま貸付けの申込みへ運ぶ形です。
トップの一文は、それをはっきり書いていました。
「緊急小口資金・生活保護など公的制度の入金日までの生活費を ¥1,000〜¥150,000 でサポート。Web申し込み最短3分、即日対応。証明書不要・使いみちも自由です。」
公的な制度の入金を待っている人は、収入が途切れていたり、生活費が尽きていたりする人です。返すあてとして見込まれているのは、その制度から入るお金です。言いかえると、この仕組みは公的制度から入るはずのお金の一部を、先に抜き取ることになります。たとえば入金を待つ2週間に3万円を申し込めば、手元に来るのは1万4,400円で、入金があったら3万円を返す。差の1万5,600円は、本来その人の生活に使われるはずだったお金です。
「公的制度の入金待ち」を、誰も確かめていない
サイトは、このサービスを「公的支援制度の審査中に入金を待てない方」向けだと説明していました。ところが、申込みの条件を読むと、その前提を確かめる仕組みが見当たりません。
| サイトの説明 | 申込みの条件として書かれていたこと |
|---|---|
| 公的制度の審査中の人のためのサポート | トップには「証明書不要・使いみちも自由です」とある。制度に申し込んだことを示す書類は求めていない |
| 入金日までのつなぎ | 返済予定日は申込み日から7日以上14日以内で、自分で選ぶ。制度の入金日と合わせる決まりはない |
| 誰が使えるか | よくある質問の答えは「18歳以上の方が対象です」 |
| 申込みに要るもの | 名前、メールアドレス、希望金額、「現在の状況」、返済予定日。電話番号は任意 |
制度の入金を待っている人でも、そうでない人でも、同じように申し込めます。そして返済予定日は最長でも14日後です。制度によっては、申請から入金までにそれ以上の日数がかかることもあります。入金を待つ人のための「つなぎ」なのに、入金より先に返済日が来ることがありえる作りです。そのとき返せなければ、どうなるのかは、規約にもよくある質問にも書かれていません。
つまり「公的制度」は、このサービスの条件ではなく、申し込む人を集めるための入り口として使われています。制度の解説を読みに来た人は、「この人たちは制度に詳しい、味方だ」と感じやすい。その信用の上に、日利3%の申込みボタンが置かれていました。
保存されていた申込みページは、「サポート内容」「ご本人情報」「収入・借入」の3段階のフォームでした。金額は1,000円から15万円まで、プラスとマイナスのボタンで動かします。最初に表示されていた金額は3万円です。返済予定日は日付のボタンで選ぶ形で、「返済予定日は土日祝日は選べません」と書かれていました。
よくある質問では、審査は「最短で即日」、ただし「通常1〜2営業日以内にメールでご連絡」とあります。今日の食費に困って申し込んだ人が、結果を待つのに1〜2営業日かかる場合もある、ということです。その間に、サイトの外のLINEで声をかけられれば、そちらへ移る人も出てくるでしょう。闇金リストの記録で連絡手段がLINEになっていることと、つながる流れです。
言葉の選び方:「サポート」「返金」
サイトの利用規約は、貸付け、借入れ、利息の上限、登録といった言葉を避けていました。お金を出すことは「サポート」、返すことは「サポート金額を返金すること」と定義されています。規約の9か条の中に、遅れたときの扱いはありません。よくある質問の答えは「できるだけ早めにご連絡ください。状況に応じてご相談させていただきます」だけです。
名前を変えても、中身は変わりません。お金を渡し、決まった日に、渡した額より多く返させる。これは貸付けです。業として貸付けをするには、国か都道府県への貸金業の登録が要ります。金融庁の登録貸金業者の検索で「てあてなび」「テアテナビ」を引くと、0件でした(2026年11月6日)。特定商取引法に基づく表記にも、登録番号は書かれていません。
闇金リストの記録と、サイトの料金のずれ
しもひがし法務事務所の記録は、てあてなびについて次のように書いています。
| 項目 | 記録の内容(2026年10月30日投稿) |
|---|---|
| 連絡手段 | LINE。アカウント名は「つなぎ資金」(2026年10月現在) |
| 返済の周期 | 短期業者 |
| 手口 | 元金は1万円ほどの少額だが、1週間後に1万円の利息を請求するなど、年利約5,214% |
| そのほか | 返済が遅れると緊急連絡先などに取立ての電話が入るおそれ。ネット上で身分証の画像などが広められる危険 |
出典:しもひがし法務事務所 闇金リスト「てあてなび(テアテナビ)」(61102)。
サイトの料金表は「手数料と利息を先に引き、申込み額を返す」形でした。記録は「1万円ほどに、1週間で1万円の利息」です。二つは同じ数字ではありません。サイトでは「電話番号は任意」「連絡はメール」としていたのに、記録では連絡はLINEで、緊急連絡先への電話にも触れています。
サイトに書かれた料金は入り口の説明で、実際のやり取りはLINEに移ってから決まる。記録とサイトのずれは、そう読むのが自然です。LINEのアカウント名が「つなぎ資金」であることは、サイトのサービス名「つなぎ資金サポート」と一致します。ただ、記録とサイトを同じ運営者と断定できる材料は、名前の一致のほかにはありません。
日付の並び
| 日付 | 起きたこと |
|---|---|
| 2026年2月4日 | 利用規約の「最終更新日」 |
| 2026年4月8日 | 特定商取引法に基づく表記の「最終更新日」 |
| 2026年4月9日(日本時間では10日の早朝) | teatenavi.com が登録される(ドメインの登録記録) |
| 2026年8月27日 | サイトのトップに出ていた、いちばん新しい解説記事の日付 |
| 2026年9月11日・10月2日 | Wayback Machine にページが保存される |
| 2026年10月30日 | しもひがし法務事務所の闇金リストに載る |
| 2026年11月6日 | サイトは接続エラー(525)で表示されない |
規約と特商法表記の日付は、どちらもドメインが登録されるより前です。サイトの文面は、住所を取る前から用意されていたことになります。そして闇金リストに載ってから1週間ほどで、サイトは表示されなくなりました。止めたのか、一時的な故障なのかは分かりません。ただ、名前とアカウント名を替えて同じ形で再び現れることは、この種の業者では珍しくありません。看板が「てあてなび」でなくても、制度の解説の横に「つなぎ資金」の申込みボタンがあれば、同じ形を疑ってください。
入金を待っている人が、今日やること
まだ申し込んでいない人
1. 「つなぎ資金」「入金日までのサポート」という言葉を見たら、手数料や利息が先に引かれるかどうかを探します。先に引く形なら、上の計算式に自分の金額と日数を入れてください。
2. 申し込もうとしている制度の窓口に、入金日を早められないか、待つあいだの手当てがないかを、先に聞きます。制度を解説するサイトではなく、制度を運営する窓口に直接です。
3. 金融庁の登録貸金業者の検索で、相手の名前を引きます。0件なら、その先には進みません。
すでに申し込んだ人、受け取った人
1. 申込みの控えのメール、LINE(「つなぎ資金」)のやり取り、振り込まれた額と日、返すように言われた額と日を、すべて残します。サイトが表示されない今は、手元の記録だけが証拠になります。
2. 申込みで伝えたもの(名前、メールアドレス、電話番号、収入・借入の情報、身分証、緊急連絡先)を書き出します。
3. 公的制度の入金があっても、すぐに全額を返す前に、受け取った額と返す額の差を上の表で確かめます。
入金を待つあいだに何を優先して払い、どこに頼るかは、借りる前に読むページで順番に並べています。手数料を先に引く貸し方の重さは、「先引き」などの言葉を借りる順に読んだ記事でも扱っています。
この記事で確かめたこと
てあてなび(teatenavi.com)は、公的支援制度の解説記事を並べたサイトの中で、「入金日までのつなぎ資金」を1,000円〜15万円で出すとしていました。料金は手数料3,000円と日利3.0%で、どちらも振込時に先に引き、返すのは申込み額そのものです。1万円を7日なら振込4,900円で年約5,427%、3万円を14日なら振込1万4,400円で年約2,824%。1,000円や3,000円の申込みでは、振り込まれる額がマイナスになります。
規約はお金を「サポート」と呼び、遅れたときの扱いを書いていません。金融庁の登録は0件です。2026年10月30日に闇金リストへ載り(LINE名「つなぎ資金」)、11月6日にはサイトが表示されなくなっていました。
確かめた日:2026年11月6日。確かめたもの:teatenavi.com のトップ・申込みページ・特定商取引法に基づく表記・よくある質問・利用規約(Wayback Machine 2026年9月11日・10月2日の保存記録)と、11月6日の接続結果、ドメインの登録記録(RDAP)、金融庁 登録貸金業者情報の検索、しもひがし法務事務所 闇金リスト 61102。
