副業の費用を消費者金融で借りさせる業者|相談は4年で1,796→5,212件、平均257万円・年収の確認をすり抜ける手順と2本の契約

✅在籍確認なし・秘密厳守
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「お金が無いなら、消費者金融で借りれば大丈夫。副業の収入ですぐ返せますから」。そう言われて、電話をつないだまま、スマホの画面を相手に見せながら申込みを進めている人がいます。国民生活センターが2026年5月20日に公表した資料によると、複数の貸金業者から借りた事案の相談は2021年度の1,796件から2024年度の5,212件まで増え、1件あたりの平均の金額は2025年度に257万円でした。

この記事は、その資料の数字と3つの相談事例を、貸金業法の決まりと並べて読みます。正規の消費者金融には、借りすぎを止めるための確認がいくつも法律で決められています。それなのに、なぜ1日で450万円まで借りられてしまうのか。どこで確認がすり抜けられているのかを、申込みの順番に沿って見ていきます。

数字で見る:4年で約2.9倍、平均の金額は1.8倍

国民生活センターの資料の図1は、全国から集まった相談のデータベース(PIO-NET)で、複数の貸金業者から借りた事案の相談を年度ごとに数えたものです。

年度 相談件数 平均の金額
2021年度 1,796件 145万円
2022年度 2,990件 168万円
2023年度 4,825件 210万円
2024年度 5,212件 212万円
2025年度 4,088件 257万円

国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!-複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口が目立ちます-」(2026年5月20日)図1。2026年3月31日までの登録分。金額は1万円以下を四捨五入した値。

2025年度の4,088件は、2026年3月31日までに登録された分です。資料には、2024年度の同じ時点(2025年3月31日まで)の件数が4,831件だったと注記があります。同じ時点どうしで比べると、2025年度は2024年度より約15%少ない数です。ただ、平均の金額は212万円から257万円へ、1年で45万円上がりました。件数の伸びが止まっても、1件あたりの借金は大きくなっています。

数字を読むときに気をつけたいのは、集計の範囲です。資料の注には「業者による借り入れ指示の有無や、短期間に連続して貸金業者に借り入れたものであるかを問わず、複数の貸金業者等から借り入れた事案を対象に集計」とあります。つまりこの件数は、副業業者に指示されたものだけを数えたものではありません。平均の金額にも、自分の預貯金から払った分など、借入れ以外の金額が含まれています。表の数字は「副業詐欺の被害額」ではなく、複数の業者から借りた相談の全体の動きとして読むのが正確です。

相談した人は誰か:20歳代が半分、給与生活者が7割

資料の最後には、相談した人の属性が載っています。

項目 資料の値
性別(n=4,067) 女性65.1%・男性34.9%
職業(n=3,981) 給与生活者71.9%・無職11.7%・学生9.6%
年代(n=4,006) 20歳代が53.9%で最多・平均年齢33.5歳

同資料(参考)PIO-NETにおける相談情報の詳細。

働いていて給料をもらっている人が7割を超えています。消費者金融の審査は、安定した収入があることを前提にしています。給与生活者は、その審査に通る人たちです。相手の業者から見ると、「働いていて、まだ借金の少ない20歳代」は、複数の消費者金融からまとまった額を引き出せる相手だということになります。

3つの事例を、申込みの順番で読む

資料には3つの相談事例が載っています。どれも、最初に接した入口は「借金」とは関係のない話でした。

事例1(2024年11月・20歳代女性) 事例2(2025年3月・30歳代男性) 事例3(2025年1月・20歳代女性)
入口 「動画を見るだけで収入」のネット広告 アルバイトの検索で出てきた業者 「FX投資で儲かる」業者
売られたもの アフィリエイトのサポート 450万円のコース AIで作った競馬予想ソフト 150万円 FXの費用 約150万円
借りた先 複数の消費者金融(社数は書かれていない) 消費者金融3社 消費者金融3社
借りた額 その日のうちに合計450万円 合計100万円(残り50万円は翌日払う予定だった) 合計約150万円
申込みのやり方 画面共有アプリを入れ、業者と画面を見ながら入力。月収10万円強のアルバイトなのに「正社員で年収300万円」と書くよう言われた インターネット上で3社に申込み 言われたとおりに借りて、複数回に分けて振込
お金の行き先 口座に複数回入金のあと、合計500万円以上がどこかへ送金 「AI作成者」という個人名義の口座 契約先と名義の違う口座

同資料「1.相談事例」より整理。

3つに共通しているのは、売る側が「お金が無い」という答えを想定していることです。事例1では「お金はない」と言ったら、「アフィリエイトの収入で支払えるから」と言われ、消費者金融から借りるように指示されています。断る理由になるはずの「お金が無い」が、借入れの手順の話に変わってしまう。資料は、業者が「貸金業者からの借り入れ方法を指示しています」と書いています。

事例3では、相談した人は「消費者金融への返済は自分で負担する必要はない」と聞いていました。けれども投資した資金は出金できず、消費者金融には自分で返すしかなくなっています。借りた契約は、副業や投資の業者とではなく、本人と消費者金融との間で結ばれているからです。

正規の業者の確認は、どこですり抜けられたのか

貸金業法は、正規の業者が貸す前に、いくつもの確認をするよう決めています。事例1の450万円は、その確認を一つずつ外す形で借りられています。条文と並べると、次のようになります。

法律が決めている確認 条文 事例で起きていたこと
収入・借入れの状況・返済計画などの返済能力を調べる 貸金業法13条1項 月収10万円強の人が「正社員で年収300万円」と申告した
個人に貸す時は信用情報機関の情報を使う 13条2項 同じ日に複数社へ申し込んでいた
その業者で50万円超、または他社と合わせて100万円超なら、源泉徴収票などの収入の書類を出してもらう 13条3項 資料には各社の額や書類の扱いは書かれていない
他社と合わせて年収の3分の1を超える貸付けは禁止 13条の2 申告どおり年収300万円なら上限は100万円。実際には合計450万円になった
契約したら遅滞なく信用情報機関に登録する 41条の35第2項 同じ日に次々と契約していた

貸金業法(e-Gov法令検索)。右の列は国民生活センターの資料の事例1から。

資料は、なぜ年収の3分の1を超えて借りられたのかまでは書いていません。ここから先は条文から考えられることで、資料が確かめたことではありません。

一つは、申告そのものが偽りだったことです。年収300万円と書けば、3分の1の上限は100万円になり、本当の年収(月収10万円強なら120万円台)の上限の約2.5倍に広がります。もう一つは、時間の差です。13条2項で各社が信用情報を照会しても、照会した時点で他社の契約がまだ登録されていなければ、その借入れは見えません。法律は登録を「遅滞なく」と求めていますが、同じ日のうちに何社も続けて申し込めば、各社が見ている「他社の借入れ」は実際より少ない可能性があります。

資料は、虚偽の申告や短時間に次々と借りる方法を指示された場合、「貸金業者において消費者への過度な貸付けを防止することが困難になってしまう場合があります」と書いています。正規の業者の確認は、申込みの内容が本当であることを前提に組み立てられています。偽りの申告と同時の申込みは、その前提を外すやり方です。

画面共有が奪うのは、考える時間

事例1では、業者から「複数社のWEB申込画面」が届き、画面共有アプリを入れて、業者と画面を見ながら入力しています。資料は問題点の3つ目として、業者が遠隔操作アプリを入れさせたり画面を共有したりしながら、申込みの手順や内容を細かく指示するため、「消費者は冷静に考える余裕がないまま高額の借り入れを次々に繰り返してしまうことがあります」と書いています。

消費者金融のインターネット申込みは、本来、一人で落ち着いて入力するものです。勤務先や年収の欄で手が止まった時に、「ここは正社員と書いてください」と横から言われ続ければ、止まる場所がなくなります。資料はさらに、画面を共有すると、証拠になるやり取りを勝手に消されることがあると注意しています。後になって何をどう指示されたのかを示そうとしても、画面の記録が残っていないということが起こります。

資料は、日本貸金業協会への要望として、画面共有を無効にする技術を入れることの検討や、職業・資金の使い道・希望額に違和感がある場合の本人への聞き取りや謝絶を挙げています。正規の業者の側でも、申込みの画面が他人に見られている状態は、想定していない使われ方だということです。

契約は2本ある:副業の契約を解いても、借金は残る

この手口でいちばん誤解されやすいのは、契約の数です。相談した人の手元には、少なくとも2種類の契約が残っています。

契約 相手 中身 解いた時に起きること
副業・投資の契約 副業サポートや投資を勧めた業者 サポート費用・ソフト代・投資資金 業者からお金が戻るかどうかの問題
借入れの契約(社数分) 各消費者金融 借りた額と利息の返済 副業の契約を解いても、この契約はそのまま

資料の冒頭には、はっきりこう書かれています。

「副業や投資を勧誘する業者から「すぐに返済できる」と言われて借り入れをした場合であっても、その借り入れに対する返済義務は借り入れをした消費者が負います。」

同資料1ページ。

事例1の人は「クーリング・オフしたい」と相談しています。副業の契約が、特定商取引法の業務提供誘引販売取引(51条)にあたれば、契約の書面を受け取ってから20日以内は書面や電磁的記録で解除できると58条が決めています。ただ、その取引にあたるかどうかは、業者が仕事を紹介する約束をしていたかなど、契約の中身によって変わります。そして、仮に副業の契約を解除できたとしても、それで消えるのは業者への支払いの義務であって、消費者金融から借りた450万円の返済ではありません。

事例2と事例3では、代金の振込先が「個人名義の口座」「契約先と名義の違う口座」でした。お金が契約の相手ではない名義の口座に流れているということは、後で返金を求めようとしても、誰に請求すればいいのかが分かりにくくなるということです。事例1では、入金の直後に「合計500万円以上がどこかに送金されていた」とあり、借りたお金そのものがどこへ行ったのか本人にも分からなくなっています。

年収を偽って書くと、何が自分に残るか

資料は消費者へのアドバイスの中で、業者から指示されたり促されたりしても「絶対に貸金業者に虚偽の申告はしないでください」と書いています。ここには二つの理由が読み取れます。

一つ目は、偽りの申告は、自分を守るための仕組みを自分で外すことになる点です。年収の3分の1の上限も、収入の書類の確認も、借りる人が返せない額を背負わないためにあります。年収を実際の2倍以上に書けば、その分だけ返せない額を借りられてしまいます。

二つ目は、偽りの申告をした事実は、借りた本人の側に残るという点です。申込みの画面に入力したのは本人で、業者の指示はその場の会話か、消されてしまう画面の中にしかありません。後で「言われたとおりに書いただけ」と説明しようとしても、それを示す記録が無ければ、消費者金融から見えるのは「本人が年収300万円と申告した」という事実だけです。

借りる前に確かめる書類については、正規の貸金業者が契約の時に必ず渡す書面を条文ごとに並べた記事があります。借りた後に手元に残る書面で、どの業者からいくら借りたのかを確かめる時にも使えます。→ 正規の貸金業者が必ず渡す書類|貸金業法16条の2・17条・18条

借りた額を、毎月の利息に直してみる

資料には、各社の金利も、毎月の返済額も書かれていません。そこで、手元に残る負担の大きさをつかむために、仮の計算をしてみます。正規の消費者金融の金利は、利息制限法の上限の範囲で決まっていて、1社あたり10万円以上100万円未満の借入れなら上限は年18%です。複数社から少しずつ借りた場合、それぞれの借入れにこの上限に近い金利がかかることは珍しくありません。ここでは全額に年18%がかかるとして、30日分の利息を出しました。

事例 借りた額 30日分の利息(年18%で計算) 資料にある収入
事例1 450万円 約6万6,575円 アルバイトで月収10万円強
事例2 100万円 約1万4,795円 書かれていない
事例3 約150万円 約2万2,192円 書かれていない

当サイトの計算(借りた額×18%×30÷365)。実際の金利と返済方式は各社の契約による。

事例1の人は、元本を1円も減らさないまま、利息だけで毎月6万円台を払う計算になります。月収10万円強のうち、6割以上が利息に消えるということです。仮に金利が年15%だったとしても、30日分は約5万5,479円で、半分を超えます。副業の業者が言った「アフィリエイトの収入で支払える」という説明が成り立つには、借りたその月から、毎月これだけの副業収入が出ている必要がありました。

複数の会社から借りていると、返済日も会社の数だけあります。1社の返済が遅れると、その記録は信用情報機関に登録され、ほかの会社も見られるようになります。450万円を何社かに分けて借りた人が、収入の半分以上を利息に充てる生活を続けるのは、最初から無理のある計画です。

事例2は、途中で止まっている

3つの事例のうち、事例2だけは、払う途中で相談が入っています。競馬予想ソフトの代金は150万円で、相談した時点で振り込んでいたのは100万円でした。資料には「残り50万円は今日振り込むことになっている」「家族に話したら不審だと言われた」と書かれています。

業者とのやり取りはメッセージアプリと電話で、ソフトの話を聞いたのは相談の前日でした。前日に話を聞き、その日のうちにインターネット上で3社から借りて振り込み、翌日に残りを払う。業者が組んだ段取りは、考える時間を1日も残さない速さです。それでも、残りの50万円を振り込む前に家族に話したことで、少なくとも50万円分は、新しく借りることも払うことも止められる位置にいました。

事例1の人は、その日のうちに450万円を借り、500万円以上が送金されたあとで相談しています。事例2との違いは、業者の段取りのどこで手を止めたかです。申込みの画面を閉じる、振込のボタンを押さない、誰かに一度話す。どれも、業者から見れば「段取りが崩れる」動きで、だからこそ業者は急がせます。

ヤミ金の話とどこが違うのか

このサイトでは、主に登録の無いヤミ金やソフト闇金の手口を扱ってきました。副業サポートの手口は、それとは形が違います。お金を貸しているのは、金融庁や都道府県に登録した正規の消費者金融です。金利も法律の範囲内です。それでも、借りる理由と申込みのやり方を外から操られることで、正規の業者から借りたお金が、そのまま別の業者の口座へ流れていきます。

ヤミ金から借りた人に理由を聞いた金融庁の委託調査(令和7年度)では、「借入れが限度額に達して、正規の金融機関から断られたため」が21.4%、「返済の延滞経験があり、正規の金融機関から借りられないため」が18.8%でした。ヤミ金に行き着く人の多くは、正規の業者から借りられなくなった人です。副業サポートの事例の人たちは逆で、正規の業者から借りられる人たちでした。借りられる人ほど、借りる額を外から決められた時の被害は大きくなります。→ ヤミ金を使った人はなぜ借りたのか|金融庁2026年調査で読む理由

今、電話や画面共有をつないだまま読んでいる人へ

1. 画面共有と通話を切る。相手に見えている状態では、考える時間を持てません。「あとでかけ直します」で構いません。遠隔操作のアプリを入れたなら、その場でアンインストールしてください。

2. まだ申込みを送っていないなら、送らない。年収や勤務先の欄に、実際と違う内容を書くよう言われているなら、その時点で止めてください。資料が書くとおり、借りた額の返済はあなたにかかります。

3. すでに借りてしまったなら、借りた先を全部書き出す。消費者金融の名前、借りた日、額、振り込まれた口座、そこからどこへいくら送ったか。業者とのメッセージや広告の画面は、消される前に別の端末やスクリーンショットで残してください。

4. 相談する先を一つ決める。副業の契約の解除と、借りた分の返し方は、別々に考える必要があります。一人で業者や消費者金融に連絡する前に、借りる前・借りた後の確かめ方と相談先をまとめたページを開いてください。→ ソフト闇金で借りる前に確かめること

この記事で使った資料:国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!-複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口が目立ちます-」(2026年5月20日公表・報告書本文PDF)、貸金業法13条・13条の2・41条の35、特定商取引に関する法律51条・58条(いずれもe-Gov法令検索、2026年10月15日閲覧)。