「評判のいい融資先」「安心して借りられるところ」を探している人へ。口コミより確かな見分け方が、法律の条文に書かれています。貸金業法は、登録を受けた業者に対して、契約の前、契約の時、返すたび、完済の時に、決まった中身の書面を借りた人へ渡すよう義務づけています。渡さなければ罰則があります。
この記事は、2026年10月13日にe-Gov法令検索で貸金業法の第16条の2・第17条・第18条・第19条・第19条の2・第20条・第22条・第48条と施行規則を読み、その条文が求める書類を、お金を借りる順に並べたものです。当サイトがこれまで調べてきた、LINEだけで貸す業者の記録とも並べます。
借りる流れと、そのつど渡される書類
| いつ | 書類(条文) | 受け取る人 |
|---|---|---|
| 契約を結ぶ前 | 契約締結前の書面(第16条の2) | 借りようとする人。保証人を立てる時は保証人になろうとする人にも |
| 契約を結んだ時 | 契約締結時の書面(第17条) | 借りた人。保証契約があれば保証人にも |
| 返すたび | 受取証書(第18条) | 返した人。口座への振込で返した時は、請求があった場合 |
| 借りている間、いつでも | 帳簿の閲覧・謄写(第19条・第19条の2) | 債務者や、債務者だった人など |
| 全部返した時 | 債権の証書の返還(第22条) | 全部を返した人 |
貸金業法(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。
この5つは、どれも業者の「サービス」ではなく、法律の義務です。登録業者であれば、店で会って契約しても、ネットで申し込んで振込で借りても、同じように渡されます。逆に、この5つのどれも出てこない相手は、登録業者のやり方をしていない、ということになります。
1. 契約の前に:何を借りるのかを先に書面で知らせる(第16条の2)
第16条の2第1項は、貸金業者が契約を結ぼうとする時、「当該契約を締結するまでに」、次の事項を明らかにして契約の内容を説明する書面を、相手に渡さなければならないとしています。
| 号 | 書かなければならないこと |
|---|---|
| 1 | 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所 |
| 2 | 貸付けの金額 |
| 3 | 貸付けの利率 |
| 4 | 返済の方式 |
| 5 | 返済期間及び返済回数 |
| 6 | 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めがあるときは、その内容 |
| 7 | そのほか内閣府令で定める事項 |
大事なのは「締結するまでに」という言葉です。お金が振り込まれた後に条件を知らされるのでは遅く、借りるかどうかを決める前に、相手の名前と住所、金利、返し方、回数、遅れた時の違約金が、書面でそろっていなければなりません。カードローンのような枠で借りる契約(極度方式基本契約)なら第2項で、極度額・金利・返済の方式などを同じように知らせます。保証人を立てる時は第3項で、保証人になろうとする人にも、保証期間・保証金額・連帯保証の意味などを書いた書面を渡します。
施行規則が足している項目(第12条の2)
第7号の「内閣府令で定める事項」は、貸金業法施行規則第12条の2第1項第1号が、普通の金銭の貸付けについて次のように決めています。
| 規則の号 | 契約前の書面に加わる事項 |
|---|---|
| イ | 貸金業者の登録番号(括弧の中の数字は省略してよい) |
| ロ | 債務者が負担すべき元本及び利息以外の金銭に関する事項 |
| ハ | 返済能力の情報を信用情報機関に登録するときは、その旨と内容 |
| ニ・ホ | 利息の計算の方法、返済の方法及び返済を受ける場所 |
| ヘ・ト | 各回の返済期日と返済金額の決め方、期日前に返せるかどうか |
| チ | 期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨と内容 |
| リ | 将来支払う返済金額の合計額(決まらないときは仮定を置いた合計額と、その仮定) |
| ヌ | 手続実施基本契約を結んでいる指定紛争解決機関の名称 |
貸金業法施行規則 第12条の2第1項第1号(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。
ロの「元本及び利息以外の金銭」は、手数料や事務費のことです。ソフト闇金の料金表に並ぶ「手数料3,000円」のようなお金は、登録業者なら契約前に書面で示さなければならない項目です。リの「将来支払う返済金額の合計額」も、借りる前に「全部でいくら払うのか」を知らせる項目です。登録番号は、この書面の中にも必ず書かれます。
当サイトでソフト闇金のサイトを調べると、会社名も住所も書かれていない例がほとんどでした。第1号の「商号と住所」が書けない相手は、この書面をそもそも作れません。
2. 契約を結んだ時:契約の中身を書面で残す(第17条)
第17条第1項は、契約を結んだ時に「遅滞なく」、契約の内容を明らかにする書面を相手に渡すよう求めています。書くことは第16条の2とほぼ同じで、そこに「契約年月日」が加わります。
| 第17条第1項で書くこと | 見るポイント |
|---|---|
| 貸金業者の商号・名称又は氏名・住所 | 登録番号の商号・住所と一致するか |
| 契約年月日 | 振込や手渡しの日と合っているか |
| 貸付けの金額 | 実際に受け取った額と同じか。先に差し引かれた額がないか |
| 貸付けの利率 | 年率で書かれているか |
| 返済の方式・返済期間・返済回数 | 毎回いくら、何回で終わるのかが分かるか |
| 賠償額の予定(違約金) | 遅れた時の利率や金額が書かれているか |
施行規則第13条第1項第1号は、さらに、登録番号、借りた人の氏名と住所、業者が受け取る書面の内容、元本と利息以外の金銭、利息の計算の方法、返済の方法と場所、「各回の返済期日及び返済金額」、期日前に返せるかどうか、期限の利益の喪失の定め、担保の内容、保証人の名前と住所などを書くよう決めています。契約前の書面では「決め方」だった返済期日と金額が、契約時の書面では一回ずつの日付と金額になります。前の借金の残高をそのまま新しい貸付金額にする契約なら、前の残高の内訳(元本・利息・遅延の賠償額)も書きます。
この書面に書いた事項のうち重要なものを後で変えた時も、また書面を渡さなければなりません(第17条第1項後段)。保証人には、保証契約の内容の書面と、借りた人の契約の内容の書面の両方が渡されます(第3項・第4項)。
「貸付けの金額」と「実際に受け取った額」を並べて見るのは、とても大事です。ソフト闇金の料金表でよく見る「手数料を先に引いて振り込む」形では、たとえば1万円の契約で手元に届くのが5,000円ほど、ということがあります。契約の書面があれば、書かれた金額と届いた金額の差が一目で分かります。書面がなければ、その差を後から示す手がかりも残りません。→ 「7日20%・手数料3,000円」を掲げるソフト闇金16社の料金表
3. 返すたびに:受け取った分を書面で示す(第18条)
第18条第1項は、業者が返済を受けたら「その都度、直ちに」、次の事項を書いた書面(受取証書)を、返した人に渡すよう求めています。
| 受取証書に書くこと | 意味 |
|---|---|
| 商号・名称又は氏名・住所 | 誰に返したのか |
| 契約年月日・貸付けの金額 | どの契約の返済か |
| 受領金額と、そのうちの利息・賠償金・元本への充当額 | 今回払った額のうち、いくらが元本を減らしたのか |
| 受領年月日 | いつ返したのか |
施行規則第15条は、これに加えて「弁済を受けた旨を示す文字」、登録番号、債務者の名前、そして「当該弁済後の残存債務の額」を書くよう求めています。文字は日本産業規格Z8305の8ポイント以上の大きさで、明瞭かつ正確に書かなければなりません。返したあとの残りの額が、毎回、読める大きさの文字で書面に出てくるということです。
いちばん大事なのは、受け取った額を「利息」「賠償金」「元本」に分けて書くことです。毎回の返済で元本がいくら減ったかが分かるので、あといくら残っているかを自分で確かめられます。
ただし第2項は、預金口座への振込などで返した場合は、返した人から「請求があった場合に限り」この規定を当てはめる、としています。振込で返している人は、受取証書が自動では届かないことがあります。欲しい時は請求すれば、業者は出さなければなりません。また第4項により、返した人の承諾があれば、書面の代わりにメールなどの電磁的方法で知らせることもできます。
受取証書の数字を、計算で並べてみる
受取証書に何が書かれるかを、具体的な数字で示します。年17.9507%で10万円を借り、30日後に7,500円を返した場合と、「7日で20%」の業者に1万円を借りて、7日後に利息の2,000円だけを払って延ばした場合です(当サイトの計算例)。
| 受取証書の項目 | 年17.9507%・10万円・30日 | 7日20%・1万円・利息だけ払う |
|---|---|---|
| 受領金額 | 7,500円 | 2,000円 |
| うち利息 | 約1,475円 | 2,000円 |
| うち元本への充当額 | 約6,025円 | 0円 |
| 弁済後の残存債務の額 | 約93,975円 | 10,000円 |
利息=元本×年率÷365×日数。右の列は、登録業者なら書面に出るはずの数字を、当サイトがソフト闇金の料金表から計算して当てはめたもの。実際にはこうした業者は受取証書を出さない。
左の列は、払うたびに残りが減っていきます。右の列は、2,000円を何回払っても残りは1万円のままです。7日ごとに8回払えば、払った合計は1万6,000円になり、借りた額を超えても残りは減っていません。受取証書の「元本への充当額」と「残存債務の額」の2行があるだけで、この違いは誰にでも分かります。
第18条第3項は、カードローンのような枠の契約で、借りた人の承諾があれば、毎回の受取証書の代わりに、一定期間の取引をまとめた書面を出してよいとしています。施行規則第15条第4項・第5項は、その期間を1か月以内とし、期間の最後の日から1か月以内に渡すよう決めています。毎月届く「ご利用明細」は、この書面に当たります。
「利息だけ払えば次回に延ばせる」というジャンプの仕組みでは、何回払っても元本が減らないことがあります。受取証書があれば、毎回の支払いの「元本への充当額」が0円だと、書面の上ではっきり分かります。
4. いつでも:帳簿を見せてもらえる(第19条・第19条の2)
第19条は、貸金業者に、営業所ごとに帳簿を備え、債務者ごとに契約年月日、貸付けの金額、受領金額などを書いて保存するよう求めています。そして第19条の2は、債務者や債務者だった人などが、その帳簿のうち自分に関係する部分の「閲覧又は謄写」を請求できる、としています。
「この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。」
貸金業法 第19条の2 後段。
つまり、業者は原則として断れません。これまでいくら借りて、いつ、いくら返したかの記録を、借りた人がいつでも確かめられるということです。手元の受取証書をなくしても、帳簿で取引の全体をたどれます。完済した後でも「債務者等であつた者」として請求できます。
帳簿に書く事項は、施行規則第16条が決めています。契約の内容と毎回の返済のほかに、債権を他人に譲渡したときは譲り受けた人の名前と住所・譲渡年月日・債権の額、そして「債務者等その他の者との交渉の経過の記録」も帳簿に残します。取立ての連絡をいつ、どうしたかも、記録として残る仕組みです。
5. 全部返した時:証書を返してもらう(第22条)
第22条は、業者が契約に基づく債権の全部の弁済を受けた時、その債権の証書を持っているなら、「遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない」としています。借用証書のように、借りた人が署名して業者に渡した書類があれば、完済の時に戻ってくる、ということです。
全部返したのに、後になって「まだ残っている」と言われることを防ぐ仕組みです。完済したのに証書が返ってこない、受取証書もない、帳簿も見せない。この組み合わせになると、借りた人は自分が完済したことを示す手段をすべて失います。
逆に、業者が借りた人から取ってはいけない書類(第20条)
渡す書類だけでなく、取ってはいけない書類も条文にあります。第20条第1項は、貸金業を営む者が、債務者等から「特定公正証書」の作成を公証人に頼むことを代理人に任せる書面(委任状)を取ってはならない、としています。特定公正証書とは、返済が滞ったら「直ちに強制執行に服する」と書かれた公正証書のことです。第2項は、その代理人選びに業者が推薦などで関わることも禁じています。
登録業者がこうした公正証書を作ってもらう場合は、第3項で、あらかじめ書面を渡して、返済が滞れば直ちに強制執行を受けることになる、と説明しなければなりません。白紙の委任状に署名させて、知らないうちに強制執行できる書類を作るやり方は、条文で止められています。契約の時に、何に使うのか分からない委任状への署名を求められたら、その場で理由を聞いてください。
渡さなければ罰則がある(第48条)
第48条は、1年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する行為を並べています。その中に、書面に関するものが入っています。
| 第48条の号 | 対象になる違反 |
|---|---|
| 3の2 | 第16条の2(契約前の書面)を交付しない、決められた事項を書かない、虚偽を書いた書面を交付した |
| 4 | 第17条(契約時の書面)または第18条第1項(受取証書)の書面を交付しない、事項を書かない、虚偽を書いた書面を交付した |
貸金業法 第48条第1項第3号の2・第4号(同上)。
書類は、登録業者が「渡してくれたら親切」なものではなく、渡さないと刑事罰の対象になるものです。それだけに、登録業者は書類をそろえる仕組みを持っています。当サイトで調べた登録業者の例では、横浜のエイワは返済の振込先を「メンバーズカード、借用証書お客様控え」で確かめられると書き、関西のニチデンは振込で借りると「ご自宅又は職場に契約書等が届きます」と書いていました。→ ニチデンの審査と金利|2つの「株式会社日電社」と登録番号
「紙がない」と「書面がない」は違う
第16条の2第4項、第18条第4項などは、相手の承諾があれば、書面を渡す代わりに電磁的方法で事項を知らせてよい、としています。ネットで完結するカードローンで、契約書がPDFや会員ページで届くのはこのためです。ですから「紙の契約書が届かない」こと自体は、違法の目印ではありません。
見るべきなのは、条文が求める中身がそろっているかです。商号と住所、契約年月日、貸付けの金額、利率、返済の方式・期間・回数、違約金。LINEのトークで「1万円、7日後に1万5千円」とだけ送られてきても、それは第17条の書面の代わりにはなりません。商号も住所も、年率も、返済の方式も書かれていないからです。
LINEだけで貸す業者とのやり取りで、この5つの書類はどれも出てきません。契約前の書面も、契約時の書面もなく、返済しても受取証書はなく、帳簿を見せてと言っても見せる帳簿がありません。完済しても返ってくる証書がありません。当サイトで調べた記録には、断った後にキャンセル料を求められたり、頼んでいないお金を振り込まれたりした例もありました。書類が何もない状態では、そうした請求が正しいかどうかを、借りた側が示す材料がありません。→ ソフト闇金の「キャンセルできます」と押し貸し・キャンセル料
書類で相手を確かめる、今日の順番
1. 契約の前に、条件を書いたものを求める
商号・住所・金額・利率・返済の方式・期間・回数・違約金。この8つが一度に書かれたものが、契約前に出てくるかを見ます。出てこなければ、その場で手を止めます。
2. 書かれた商号と住所を、登録と照らす
書面の商号と住所が、登録番号の商号・本店と同じかを金融庁の検索で確かめます。違えば、他社の番号を借りている疑いがあります。
3. 書かれた金額と、届いた金額を比べる
契約の金額より少ない額しか届かなければ、差額は先に引かれた利息や手数料です。年率に直して、上限を超えていないかを見ます。
4. 返すたびに、元本がいくら減ったかを残す
振込で返しているなら、受取証書を請求します。元本への充当額が毎回0円なら、何回払っても終わらない返し方です。
5. 完済したら、証書と最後の受取証書を保管する
証書が返ってこない時は、第22条に基づいて返すよう求めます。取引の全体は、第19条の2の帳簿の閲覧で確かめられます。
まとめ
- 登録業者は、契約の前(第16条の2)、契約の時(第17条)、返すたび(第18条)に、決まった事項を書いた書面を渡す。完済の時は債権の証書を返す(第22条)
- 書くのは、商号・住所、契約年月日、貸付けの金額、利率、返済の方式・期間・回数、違約金など。受取証書は、受け取った額を利息・賠償金・元本に分けて書く
- 口座への振込で返した場合、受取証書は請求があった時に出す(第18条第2項)。承諾があれば電子でもよい
- 債務者や債務者だった人は帳簿の閲覧・謄写を請求でき、業者は原則として拒めない(第19条の2)
- 書面を渡さない・事項を書かない・虚偽を書くと、1年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方(第48条)
- LINEだけで貸す業者とのやり取りでは、この書類がどれも出てこない
借りる前に確かめる順番と相談先は → ソフト闇金で借りる前に確かめること
確かめた資料:貸金業法 第16条の2・第17条・第18条・第19条・第19条の2・第20条・第22条・第48条、貸金業法施行規則 第12条の2・第13条・第15条・第16条(e-Gov法令検索、2026年10月13日閲覧)。エイワ・ニチデンの記載は各社公式サイト(同日)。
