富山のヤミ金と登録業者10社|射水の会社員逮捕「年利240〜360%」は“上限の2〜3倍”でなく業としての線の12〜18倍【2026年】

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2026年7月9日、富山県警は、貸金業の登録を受けずに県内の男女4人へお金を貸していたとして、射水市の37歳の会社員の男を逮捕しました。報道は、月2割から3割の金利を年に直すと240%から360%で、「出資法上の上限(年109.5%)の2〜3倍」にあたると伝えました。この「2〜3倍」という言い方は、読み方によっては事件を小さく見せてしまいます。この記事では、この一つの事件を材料に、ヤミ金の報道を読むときに起こりやすい誤解を一つずつほどき、あわせて富山県に本店を置く登録業者10社を並べます。

2026年7月の事件で、分かっていること

項目 報じられた内容 出どころ
逮捕 2026年7月9日、射水市の会社員の男(37) チューリップテレビ・富山県警の発表
捜査した部署 県警の生活安全企画課・治安対策プロジェクトチームと射水署 富山県警の発表
容疑 貸金業法違反(無登録)など。見出しでは、出資法違反や組織的犯罪処罰法違反など3つの容疑 チューリップテレビ
期間 令和5年(2023年)7月ごろから令和8年(2026年)2月ごろ 同上・富山県警の発表
相手 富山県内に住む30代の女性を含む4人の男女 同上
金額 合計約60万円を貸し付ける契約 同上
金利 月2割から3割。年に換算すると240%から360% チューリップテレビ
返済の受け取り方 返済金を、自分が管理する他人名義の口座に振り込ませて受け取った 富山県警の発表

※チューリップテレビ(2026年7月9日)の報道を引用したしもひがし法務事務所の闇金情報ブログ(2026年7月9日更新)、富山県警の事件発表を掲載した地域の安全情報サイト(2026年7月14日掲載)、富山新聞(2026年7月10日、見出しのみ確認)による。報道時点では容疑の段階で、その後の起訴や裁判の結果は当サイトでは確認できていない。

規模だけを見れば、約2年半で4人、約60万円です。のべ数千人に貸していたような大きなグループの事件と比べると、小さな事件に見えるかもしれません。けれど、この事件の報道には、ヤミ金を考えるうえで見落としやすい点がいくつも含まれています。以下、よくある誤解の形で取り上げます。

誤解1:「上限の2〜3倍」なら、少し高いだけ

報道は、年240%から360%を「出資法上の上限(年109.5%)の2〜3倍」と説明しました。計算そのものは合っています。240÷109.5は約2.2、360÷109.5は約3.3です。けれど、年109.5%は、すべての貸し手にとっての上限ではありません。

線 誰にかかるか 年240%との比較 年360%との比較
年20% 業として(商売として)お金を貸す者。これを超える利息を約束すると出資法の罰則の対象 12倍 18倍
年109.5% 業としてかどうかにかかわらず、お金を貸す者すべて。業者にとっては、これを超えると罰則がさらに重くなる線 約2.2倍 約3.3倍

※倍率は当サイトの計算。

逮捕された男は、報道によれば、登録を受けずに「業として」貸していた疑いを持たれています。業として貸す者にとっての線は年20%です。この線から見れば、年240%から360%は「2〜3倍」ではなく「12〜18倍」になります。報道の「2〜3倍」は、より重い罰則の線と比べた数字だと読むのが正確です。どちらの線を基準にするかで、同じ金利が大きくも小さくも見えます。ヤミ金の報道で「上限の何倍」という言葉を見たら、どの上限と比べているのかを確かめてください。

この事件を取り上げたしもひがし法務事務所も、年109.5%を超える利息を罰する規定(出資法5条1項)と、業として貸す場合に年20%を超える利息を罰する規定(同条2項)を並べて示しています。二つの線は別々の条文で、業として貸す者には両方がかかります。報道の短い一文では、このうち片方しか伝わらないことがある、と覚えておくと、数字に振り回されずに済みます。

誤解2:年360%なら、ヤミ金としては安いほう

しもひがし法務事務所は、この事件の金利について、10日で1割の「トイチ」(年365%)に匹敵すると書いています。ヤミ金の世界では、トイチはむしろ低い部類に入るとも言われます。では、月2〜3割は借りる人にとって軽い負担なのか。10万円を借りた場合で計算します。

金利 1か月の利息 元本を減らさず1年続けた場合の利息 年20%なら1年で
月2割(年240%) 20,000円 240,000円 20,000円
月3割(年360%) 30,000円 360,000円 20,000円

※当サイトの試算。毎月の利息だけを払い続け、元本10万円は減らないものとした(単利)。

月2割でも、10万円を借りて利息だけを払い続ければ、1年で借りた額の2.4倍を払うことになります。月3割なら3.6倍です。それでも元本の10万円は残ったままです。「ヤミ金にしては安い」という比べ方は、比べる相手が間違っています。比べるべきは、ほかのヤミ金ではなく、登録業者の金利です。

そして、この事件の期間は令和5年7月ごろから令和8年2月ごろまで、2年半以上にわたっていました。月ごとの支払いが続く形の貸し付けは、一度に返せない人ほど長く続きます。4人がそれぞれいくら借り、いつまで払っていたのかは報じられていませんが、期間の長さは、それだけ利息を払い続けた人がいた可能性を示しています。

4人で約60万円を、平均で考えると

報道は、4人それぞれの借入額を伝えていません。仮に約60万円を4人で均等に割ると、1人あたり約15万円です。この額を月2割で借りていたとすると、1か月の利息は3万円になります。元本を減らせずに利息だけを払い続けた場合、半年で18万円、1年で36万円で、1年たたないうちに借りた額を超える計算です。もちろんこれは平均をとった仮の計算で、実際の貸し借りの中身は報じられていません。それでも、月単位の金利がどれほど早く借りた額に追いつくかは、この数字からも分かります。

1週間ごとのソフト闇金と比べると

月2割という金利は、ネットで客を集めるソフト闇金の「7日で2割」と比べると、ずいぶん低く見えます。7日で2割を年に直すと約1,043%で、月2割の年240%の4倍以上です。しかも、ソフト闇金は手数料を先に引くことが多く、実際に受け取った額に対する割合はさらに大きくなります。 → ソフト闇金の用語を借りる順に読み解く

だからといって、月2割が「良心的」なわけではありません。短い周期の業者に比べて一回ごとの支払いが小さく見えるぶん、借りる人は負担に気づきにくく、支払いが長く続きやすいとも考えられます。今回の事件の期間が2年半以上に及んでいたことは、その見方と矛盾しません。

誤解3:返済先が知らない人の口座でも、自分には関係ない

富山県警の発表によれば、男は返済金を、自分が管理する他人名義の口座に振り込ませていました。借りた側から見れば、振込先の名義が貸した相手と違っていても、指示どおりに振り込んだだけ、と思うかもしれません。

けれど、他人名義の口座がどこから来たのかを考えると、話は変わります。ヤミ金が使う口座の多くは、返せなくなった客に開設させたり、買い取ったりしたものだとされています。山形で報じられた事件でも、返済に困った客に口座を開設させ、その口座を犯行に使っていた疑いが伝えられました。今日の振込先の口座は、昨日までの誰かが差し出した口座かもしれず、明日は自分の口座がそうなるかもしれないということです。 → 山形のヤミ金と登録業者4社

報道の見出しは、この事件の容疑として、貸金業法違反と出資法違反に加えて組織的犯罪処罰法違反を挙げていました。どの行為がどの容疑にあたるのかは、報道からは読み取れません。一般に組織的犯罪処罰法は、犯罪で得たお金の出どころや持ち主を隠す行為などを罰する法律です。返済金を他人名義の口座で受け取る仕組みは、それ自体が、お金の流れを見えにくくする方向に働きます。そうした口座に名義を貸した人や口座を渡した人も、無関係ではいられなくなるおそれがあります。

返済のたびに振込先の名義が個人名で、それが貸した相手の名前と違う。これは、相手が登録業者でないことを見分ける、いちばん身近な手がかりの一つです。登録業者なら、返済先は会社名義の口座になるのが普通です。名義が違うと気づいたら、次の振り込みの前に、その口座が誰のものかを相手に尋ねてみてください。答えをはぐらかす相手なら、それが答えです。

誤解4:県内の相手なら、顔が見えるから安心

今回の事件は、射水市の男が富山県内の人に貸していたものでした。遠くの見知らぬ業者ではなく、同じ県に住む相手です。4人がどのようにこの男と知り合ったのかは報じられていません。分かっているのは、4人のうち1人が県内に住む30代の女性だったこと、そして捜査にあたったのが、地元の射水署に加えて県警本部の生活安全企画課と治安対策プロジェクトチームだったことです。小さな規模の貸し付けでも、県警が本部の部署を入れて捜査していたことになります。ただ、相手が近くにいることは、安全の理由にはなりません。

近くにいる相手からの借金は、断りにくく、返済が遅れたときに生活の場まで話が及びやすいという面もあります。そして何より、相手が近くにいても遠くにいても、登録を受けていなければ、金利の決まりを守る義務を負っていないことに変わりはありません。後で見るとおり、射水市に本店を置く登録業者は、2026年9月30日の検索では1社もありませんでした。

「月何割」を年に直す早見表

ヤミ金の報道には、「月2割」「10日で1割」といった書き方がよく出てきます。月単位の金利を年に直し、業として貸す場合の年20%の線と比べた表です。

月あたりの金利 年に直すと 年20%の線の何倍か 10万円を借りたときの1か月の利息
月1割 120% 6倍 10,000円
月2割 240% 12倍 20,000円
月3割 360% 18倍 30,000円
月5割 600% 30倍 50,000円
(参考)年20% 20% 1倍 約1,667円

※当サイトの計算(単利・1か月を12分の1年とした)。

月1割でも、年に直せば20%の線の6倍です。10万円を借りたときの1か月の利息で比べると、年20%なら約1,667円のところ、月2割では20,000円と12倍になります。

誤解5:お金を受け取っていなければ、罪にはならない

富山県警の発表は、男の行為を「法定利息を超える金利で貸し付ける契約をした上、返済金を他人名義の口座に振り込ませて受領した」と書いています。ここには、契約と受け取りという二つの段階が出てきます。出資法は、業として貸す者が年20%を超える利息の契約をしたときに罰則を定め、その利息を受け取ったり、支払いを求めたりした者も同じように罰するとしています。約束した時点で、すでに線を越えているということです。

借りる側から言い換えると、「高い利息の話をされたが、まだ払っていないから大丈夫」ではなく、その約束を持ちかけてきた時点で、相手は法律に反することをしているということです。月2割、10日で1割といった条件を示された時点で、その話からは離れてください。

富山県に本店がある、正規の10社

金融庁の登録業者の検索で、本店所在地を富山県として調べた結果です。

会社名 登録番号 本店 日本貸金業協会
株式会社北陸カード 北陸財務局長(15)第00014号 富山市新富町 協会員
北陸商事株式会社 北陸財務局長(15)第00003号 富山市星井町 協会員
三県商事株式会社 北陸財務局長(14)第00020号 富山市大泉町 協会員
富山ファースト・ディーシー株式会社 北陸財務局長(14)第00025号 富山市掛尾町 協会員
株式会社富山ファイナンス 富山県知事(15)第00132号 富山市新桜町 協会員
有限会社コーリヨ 富山県知事(15)第00005号 高岡市大坪町 協会員
北電パートナーサービス株式会社 富山県知事(13)第00367号 富山市牛島町 協会員番号の表示なし
タカノ興発株式会社 富山県知事(5)第00679号 富山市西中野町 協会員
ほくほく応援ファンド投資事業有限責任組合 富山県知事(3)第00682号 富山市新桜町 協会員番号の表示なし
株式会社ゼクストフィンテック 富山県知事(1)第00683号 富山市千石町 協会員

※金融庁 登録業者の検索(2026年9月30日、本店所在地で検索)。検索結果に日本貸金業協会の協会員番号が載っている会社を「協会員」とした。貸付の条件や対象は各社の案内で確かめること。

10社を読むときの三つの点

一つ目は、本店の場所です。10社のうち9社が富山市、残る1社が高岡市でした。射水市、魚津市、砺波市などに本店を置く登録業者はありません。逮捕された男が住んでいた射水市にも、1社もありませんでした。

二つ目は、かっこ内の数字です。これは登録を受けた回数で、登録は3年ごとの更新が必要です。(15)が4社、(14)が2社、(13)が1社あり、長く続いてきた会社が多いことが分かります。一方、(1)のゼクストフィンテックは、2025年6月20日に登録を受けたばかりの会社です。3年ごとの更新が必要なので、登録が続いていれば、次の更新は2028年になります。また、三県商事と北陸商事は、検索結果に載っている代表者の氏名が同じでした。登録番号は別々で、それぞれ北陸財務局長の登録を受けています。

三つ目は、会社の種類です。10社の中には、投資事業有限責任組合という形の「ほくほく応援ファンド」も含まれています。貸金業の登録を受けているのは、個人向けにお金を貸す会社に限りません。カード会社やこうした組合など、さまざまな形の組織が含まれています。登録業者であることと、個人がそこで借りられることは別の話です。どこで借りられるかは、各社の案内で確かめる必要があります。

隣の県と比べる

県 本店がある登録業者 うち財務局長登録 うち知事登録
富山県 10社 4社 6社
新潟県 9社 6社 3社
長野県 6社 2社 4社
岐阜県 9社 2社 7社
石川県 6社 1社 5社

※金融庁 登録業者の検索(2026年9月30日、本店所在地で検索)。富山県と陸続きで接する4県を並べた。

富山県の10社は、隣の4県の中でいちばん多い数でした。石川県と長野県は6社、新潟県と岐阜県は9社です。ただ、県内に本店がある会社の数と、その県の人が借りられる登録業者の数は同じではありません。大手の消費者金融や銀行系のカード会社は、県外に本店を置いて全国で営業しているからです。隣の岐阜県で報じられた事件と登録業者は、別の記事で整理しています。 → 岐阜のヤミ金と登録業者

報道を読んだあとに、確かめること

1.「上限の何倍」と書かれていたら、どの上限かを見る

商売として貸す者にとっての線は年20%です。年109.5%と比べた倍率は、罰則が重くなる線との比較です。同じ金利でも、年20%と比べれば5倍以上大きな数字になります。

2.借りた額に、利息だけを12か月分掛けてみる

月2割なら、1年で借りた額の2.4倍が利息になります。月の利息だけを払い続けている人は、元本が減っていないことを確かめてください。

3.振込先の名義が、貸した相手の名前と同じかを見る

個人名の口座、しかも相手と違う名前の口座に返済させる相手は、登録業者ではありません。そして、自分の口座を渡すよう求められたら、その場で断ってください。

4.相手の登録番号を、かっこ内の数字まで含めて検索する

富山県に本店がある登録業者は、上の10社です。本店が県外にあっても、登録を受けていれば検索で見つかります。近くの知り合いでも、登録が無ければヤミ金です。

5.すでに払い続けているなら、一人で抱えない

やり取りの記録と振込の記録を残したうえで、次のページの順番で相談先を確かめてください。 → ソフト闇金より先に確かめること

まとめ:2026年7月9日、富山県警は、登録を受けずに県内の4人へ合計約60万円を貸し付けた疑いで、射水市の37歳の会社員の男を逮捕しました。金利は月2割から3割、年に直して240%から360%で、報道はこれを「出資法上の上限(年109.5%)の2〜3倍」と伝えました。けれど、業として貸す者にとっての線は年20%で、そこから見れば12〜18倍です。10万円を月2割で借りて利息だけを1年払えば24万円になり、それでも元本は残ります。返済金は他人名義の口座に振り込ませていたとされます。富山県に本店がある登録業者は10社で、隣の4県より多い数でしたが、射水市に本店を置く会社はありませんでした。「何倍か」はどの線と比べた数字かを確かめ、振込先の名義と登録番号で相手を見分けてください。

出典:しもひがし法務事務所 闇金情報ブログ「富山でヤミ金逮捕 年利360%の高金利で違法な貸金業を営んだ疑い」(2026年7月9日更新、チューリップテレビ 2026年7月9日配信の引用を含む)/富山県警の事件発表「貸金業法違反等被疑者の逮捕について(生活安全企画課・治安対策PT・射水署)」(地域の安全情報サイトに2026年7月14日掲載)/富山新聞「ヤミ金融営んだ疑い、射水の会社員を逮捕 県警と射水署」(2026年7月10日、見出しのみ確認)/金融庁 登録業者の検索(いずれも2026年9月30日確認)。