破産した人の借金の相手は誰だったか|日弁連の記録調査(1,233件)で、ヤミ金は債権者の0.45%、登録業者は46%、借入れから5年以上が82.81%

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借金が返せなくなって、ソフト闇金で「つなぎ」を探している人へ。実際に破産を申し立てた人の裁判所の記録を、全国50の地方裁判所で1,233件集めて読んだ調査があります。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が2025年8月にまとめた「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」です。そこでは、破産した人の平均の月収は13万8,038円、債権者の数は平均6.81、借り始めてから破産を申し立てるまでの期間は「5年以上」が82.81%でした。

この記事は、その調査の報告書(166ページ)の原文を2026年10月14日に読み、破産に至った人の借金の相手が誰で、どれくらいの期間、どんな理由で借りていたのかを、数字のまま並べたものです。手続きの説明はせず、調査に出てくる「借金の形」だけを扱います。

この調査は、何を数えたのか

項目 報告書の記載
実施 日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会。2023年6月から10月にかけて、全国の各弁護士会を通じて各地方裁判所で確定記録を調査
対象 2022年6月1日から11月30日までに自然人が申し立てた破産記録から無作為に各20件(高等裁判所の所在地は50件)など
範囲 47都道府県・50地裁すべて
有効データ 破産1,233件、個人再生773件(小規模個人再生604件、給与所得者等再生169件)
過去の調査 1992年から同様の調査を11回。2008年以降は3年ごと

日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」第1 調査の目的・概要(2026年10月14日閲覧)。

アンケートではなく、裁判所に出された申立書などの記録そのものを読んで数えている点が、この調査の特徴です。本人の思い出ではなく、書類に書かれた借入先や金額が元になっています。同じ方法で3年ごとに続いているので、年ごとの変化も比べられます。

破産した人の借金の相手:「無登録貸金業者」は0.45%

報告書は、破産した人の債権者を種類別に分けています。2008年の調査から加わった項目です。

債権者の種類(破産) 2008年 2011年 2014年 2017年 2020年 2023年
登録貸金業者 67.51% 57.41% 45.47% 42.44% 46.67% 46.00%
無登録貸金業者 1.17% 0.32% 0.30% 0.44% 0.12% 0.45%
民間金融機関 8.39% 7.74% 8.30% 6.29% 5.09% 4.50%
税金・社会保険 1.87% 2.65% 3.88% 2.75% 2.63% 2.10%
医療関係 0.19% 0.42% 0.66% 0.83% 0.64% 0.65%
その他債権者 11.07% 16.37% 22.29% 20.93% 17.18% 19.38%

同報告書 第2 1(6) 債権者の属性。このほか保証系(保証会社・サービサー)が2023年で合計23.64%、政府系金融機関(奨学金)0.81%・(奨学金以外)2.47%。

報告書は、2020年の調査で2008年以降の最小値になった「無登録貸金業者」が、2023年の調査で「増加した(0.12%→0.45%)」と書いています。割合は小さく見えますが、3年で約3.8倍です。登録貸金業者は2008年の67.51%から2014年に45.47%へと大きく減り、その後は40%台半ばで横ばいです。それでも、破産した人の債権者のほぼ半分は、今も登録を受けた貸金業者です。

この数字を読む時に気をつけたいことがあります。ここで数えているのは、破産の申立書に債権者として書かれた相手です。ヤミ金からの借入れは、法律の上で返す義務がないとされる場合があり、また借りた本人が書かないこともありえます。0.45%という数字は、ヤミ金を使った人の割合ではなく、破産の記録に「債権者」として現れたヤミ金の割合です。実際にヤミ金と関わった人の割合を示す数字ではありません。

年利数百%を超えるヤミ金については、最高裁判所が2008年に、業者は元本の返還も請求できないと判断しています。→ ヤミ金に元本は返さなくていい?最高裁平成20年6月10日判決を読む

個人再生では、無登録貸金業者は0.03%

同じ報告書の個人再生の記録では、無登録貸金業者の割合はさらに小さく、2023年は0.03%でした(2020年0.02%、2008年0.12%)。登録貸金業者は55.11%です。個人再生を申し立てた人は、継続した収入が見込まれる給与生活者が90.17%を占め、うち正社員が79.43%と、破産(正社員31.47%)とは顔ぶれが大きく違います。収入が安定している層ほど、記録の上でヤミ金が出てこないという並びです。

個人再生の申立理由を見ると、「生活苦・低所得」は38.94%で破産(65.86%)より低い一方、「住宅購入」が21.86%、「ギャンブル」が20.05%、「浪費・遊興費」が23.29%と、破産より高くなっています。報告書は、ギャンブルや浪費・遊興費が原因の場合に「破産における免責不許可のリスク回避のために個人再生手続を利用する傾向があることをうかがわせる」と書いています。「ギャンブル」は個人再生でも2002年の調査開始以来の最大値でした。

どんな人が、どれくらいの借金で破産したか

項目(破産・2023年調査) 報告書の数字 前回(2020年)
平均月収 13万8,038円 14万2,021円
月収15万円未満の割合 男性47.58%、女性71.71% 男性42.02%、女性65.08%
平均負債額 1,084万2,551円 1,449万9,580円
負債1,000万円未満の割合 79.64% ―
負債100万円未満の割合 10.46% 8.39%
債権者数の平均 6.81 6.83
持ち家でない 77.87% 74.25%
単身 43.63% 35.97%
生活保護受給者 17.36% 13.23%

同報告書 第2 1(3)〜(9)。

平均負債額は1,000万円を超えていますが、1億円以上の人も1.87%いて、一部の大きな負債が平均を押し上げています。8割近くは1,000万円未満、1割は100万円未満の借金で破産を申し立てています。報告書は、100万円未満の負債額帯が「1997年調査以降最大値を更新した」と書いています。少ない額の借金でも、収入が月13万円台では返せなくなる、という実像です。

債権者の数の平均は、2002年の調査では11.50でしたが、2023年は6.81まで減っています。2006年の改正で借入れの総額が年収の3分の1までに抑えられ、何社からでも借りられる状態ではなくなったことと、時期が重なります。

ひとり暮らしで、持ち家がない人が増えている

項目(破産) 2002年 2005年 2011年 2020年 2023年
同一家計が単身 20.10% 18.82% 22.45% 35.97% 43.63%
住居が持ち家でない ― 68.08% 64.45% 74.25% 77.87%
平均月収 10万4,639円 11万61円 11万7,576円 14万2,021円 13万8,038円

同報告書 第2 1(3)・(8)・(9)。

単身で破産を申し立てた人は、2002年の約5人に1人から、2023年は4割を超えました。報告書は、単身が「1997年調査以降の最大値を更新した」と書いています。家族と家計を分け合えない人、家賃を払い続ける人が、破産する人の中心になってきています。平均月収は20年あまりで約3万円上がりましたが、2023年は前回より下がりました。

年齢と性別:70歳代以上と20歳代が増えた

年代(破産) 2008年 2017年 2020年 2023年
20歳代 12.05% 7.35% 9.92% 11.52%
30歳代 25.98% 19.55% 15.89% 14.84%
40歳代 23.93% 26.01% 26.94% 19.22%
50歳代 21.39% 22.78% 21.45% 25.63%
60歳代 12.54% 16.40% 16.37% 16.71%
70歳代以上 3.93% 7.51% 9.35% 11.84%

同報告書 第2 1(2) 破産債務者の年齢・性別。

報告書は、「70歳代以上」が「1997年調査以降最大値」になり、「20歳代」も2014年の調査から増え続けていると書いています。逆に30歳代と40歳代は1997年以降で最も少なくなりました。破産する人の年齢が、働き盛りの真ん中から、若い層と高齢の層の両端へ広がっている、ということです。性別は男性58.48%、女性41.28%で、2011年の調査から男性の比率が高い傾向が続き、今回はさらにはっきりしたとされています。

職業:給与所得者が減り、生活保護受給者が増えた

職業(破産) 2008年 2020年 2023年
給与所得者(正社員) 37.13% 32.02% 31.47%
給与所得者(正社員以外) 23.52% 27.50% 22.14%
生活保護受給者 3.11% 13.23% 17.36%
無職 22.30% 13.23% 14.92%
年金生活者 4.26% 6.69% 7.70%
自営・自由業 5.82% 4.44% 3.33%

同報告書 第2 1(7) 職業。2008年調査以前の正社員の欄には派遣社員を含む。

給与所得者は、正社員と正社員以外を合わせて59.52%から53.61%に減りました。生活保護受給者は2005年の調査から増え続け、2023年は17.36%です。2008年の3.11%と比べると、5倍を超えています。収入が年金や生活保護に限られる人ほど、返済の余地はほとんどありません。そうした人に向けて「年金受給者OK」「生活保護でも借りられる」とうたう広告は、返せないことが分かっている相手に貸そうとしている、ということになります。

破産の理由:「生活苦・低所得」が65.86%

負債の原因(複数回答・人数比) 2008年 2014年 2020年 2023年
生活苦・低所得 63.69% 60.24% 61.69% 65.86%
病気・医療費 20.98% 20.73% 23.31% 26.44%
生活用品の購入 8.77% 11.21% 14.76% 18.00%
失業・転職 14.67% 19.84% 17.58% 17.36%
負債の返済(保証以外) 28.20% 17.18% 20.48% 14.92%
浪費・遊興費 7.21% 5.97% 11.37% 12.81%
クレジットカードによる購入 ― 6.61% 9.35% 11.68%
ギャンブル 4.34% 3.87% 7.18% 9.89%

同報告書 第2 1(1) 破産理由(多重債務に陥った原因)。

報告書は、「生活苦・低所得」と「生活用品の購入」がどちらも「1997年調査以降最大値」になったとし、「物価高の影響による生活苦型破産の傾向が進展しているおそれがある」と書いています。ギャンブル、浪費・遊興費、投資もそろって1997年以降で最大でした。

「負債の返済(保証以外)」、つまり借金を返すための借金が理由に挙がった人は、2008年の28.20%から2023年は14.92%に減っています。返すために次々に借りる形が、正規の業者の間では作りにくくなったことがうかがえます。その形を、正規の業者の外で作っているのがソフト闇金です。2011年に金融庁が出した手引きは、ソフトヤミ金の手口を「次々と返済のための融資を行い」と書いていました。

借り始めてから破産まで、5年以上が82.81%

借入れから申立てまでの期間(破産) 2008年 2020年 2023年
1年未満 0.57% 0.16% 0.65%
1年〜2年未満 2.46% 2.02% 2.92%
2年〜3年未満 4.59% 3.79% 3.49%
3年〜4年未満 5.08% 4.27% 2.76%
4年〜5年未満 6.15% 7.74% 6.24%
5年以上 79.67% 79.92% 82.81%

同報告書 第2 1(10) 借入れから申立てまでの期間。

破産を申し立てた人の8割以上が、借り始めてから5年以上たっていました。急に借金が膨らんで1年で破産する人は1%もいません。1年未満は0.65%、2年未満まで足しても3.57%です。多くの人は、何年もかけて返し続け、収入が減ったり病気をしたりした時に、返しきれなくなっています。

この長い期間の終わりのほうで、正規の業者から借りられなくなった人がソフト闇金を探し始めます。2026年7月に金融庁が公表した調査でも、ヤミ金などから借りた理由の上位は「限度額に達して、正規の金融機関から断られたため」でした。→ ヤミ金を使った人はなぜ借りたのか|金融庁2026年調査

免責が決まる前に、給料を差し押さえられた人

報告書は、破産の手続きの途中で、免責が確定する前に強制執行を受けた人の割合も数えています。2023年の調査では10.22%で、前回の7.50%から大きく増え、1997年の調査以降で最大でした。対象の内訳は「給与等の債権執行」が61.87%、「不動産執行」が25.90%、「動産執行」が12.23%です。

返せない状態が長引くと、登録業者や保証会社は、裁判所の手続きを通じて給料の差押えに進みます。破産を申し立てた人の1割は、その段階まで行っていました。ヤミ金は裁判所の手続きを使えない代わりに、職場や家族への連絡で迫ってきます。どちらも、返せなくなった後に来るものです。

なお、同じ報告書によると、破産を申し立てた1,233人のうち、弁護士が代理人についていたのは1,157人(93.84%)、司法書士に依頼していたのが54人(4.38%)で、代理人のいない申立ては7人(0.57%)でした。弁護士が代理人の割合は1997年の調査以降で最大です。破産の記録のほとんどは、本人ひとりではなく、専門家が関わって作られた書類だということになります。

破産の件数そのものは、どう動いているか

記録調査とは別に、件数そのものは最高裁判所の司法統計に出ています。東京商工リサーチが2026年6月7日に公表した記事は、司法統計年報を引いて、次の数字を挙げていました。

年 自然人(個人)の破産申立 記事の説明
2003年 24万2,849件 過去30年のピーク。消費者金融による多重債務が社会問題化
2012年 8万2,668件 ―
2015年 6万3,856件 ピークの約4分の1
2022年 6万4,982件 2015年と同水準
2025年 8万3,100件(速報値) 3年連続の増加。8万件台は13年ぶり

東京商工リサーチ「個人破産、13年ぶり高水準」(2026年6月7日、最高裁判所「司法統計年報」を引用)。

個人の破産は、2003年の約24万件から2015年に約6万4,000件まで減り、2023年以降はまた増えています。記録調査で「生活苦・低所得」が過去最大になった時期と、件数が増え始めた時期は重なっています。

返済のための借入れを、正規の業者の外で続けようとしているなら、一度手を止めてください。記録調査では、借金を返すための借金が破産の理由に挙がる割合は減っていますが、それは正規の業者が貸さなくなったからです。その隙間を埋めるソフト闇金の料金表は、1万円を7日借りて数千円を上乗せする水準でした。月収13万円台で返せなくなった借金を、年率1,000%を超える借入れで埋めることはできません。

この調査から、自分の状況を見直す順番

1. 借り始めてからの年数を数える

破産した人の8割以上は5年以上借りていました。何年返し続けているか、元本がどれだけ減ったかを、契約書や利用明細で確かめます。

2. 債権者の数と種類を書き出す

登録業者、銀行、保証会社、カード会社、税金や社会保険、家族や知人。破産した人の債権者の平均は6.81でした。自分の借入れを同じ分け方で並べると、全体が見えます。

3. 借りる理由が「返済のため」になっていないか見る

返すために借りる形になっているなら、そこから先は金額ではなく仕組みの問題です。ソフト闇金で埋める前に、借金全体の扱いを考える段階です。

まとめ

  • 日弁連の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」は、全国50地裁の破産記録1,233件・個人再生773件を読んだ調査
  • 破産した人の債権者のうち、無登録貸金業者は0.45%(2020年0.12%から増加)、登録貸金業者は46.00%(2008年67.51%)。記録に債権者として現れた割合で、ヤミ金を使った人の割合ではない
  • 平均月収13万8,038円、債権者数の平均6.81(2002年11.50)、負債1,000万円未満が79.64%、100万円未満が10.46%
  • 破産の理由は「生活苦・低所得」65.86%、「生活用品の購入」18.00%がともに1997年以降で最大。「負債の返済」は2008年28.20%から14.92%へ
  • 借り始めてから申立てまで5年以上が82.81%
  • 司法統計では個人の破産申立は2003年24万2,849件がピーク、2025年は速報で8万3,100件と13年ぶりの8万件台(東京商工リサーチの引用)

借りる前に確かめる順番と相談先は → ソフト闇金で借りる前に確かめること

確かめた資料:日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」(報告編・データ編)、東京商工リサーチ「個人破産、13年ぶり高水準 ~ 貸出姿勢の変化と業界を跨いだ悪循環 ~」(2026年6月7日)、金融庁「多重債務者相談の手引き」(平成23年8月)。いずれも2026年10月14日閲覧。